歌舞伎町でリニューアルオープン

珈琲西武は芸人のネタにされることもあった。お笑い芸人に詳しいライターは言う。

「『ルミネtheよしもと』の出演の合間にロバートの秋山(竜次)さんがよくここに来てたみたいです。そこで見たマルチの勧誘の一部始終を深夜番組の『はねるのトびら』の人気コント『グローバルTPS物語』の中で再現したら、再び西武に来店した際、『運びが完璧すぎるので、ぜひうちでやりませんか』と本物のマルチ関係者からスカウトされたこともあったみたいですよ」

そして、時代は令和へ。昨今のレトロブームで新たな客層も獲得していた。前出の老舗喫茶の店舗責任者は言う。

フードが充実しており、SNS映えするメニューも多かった
フードが充実しており、SNS映えするメニューも多かった

「インスタグラムなどのSNSに投稿するためなのか、最近は若い女性客が増えていました。特に、写真映えするパフェ類や『自家製プリンのプリン・ア・ラ・モード』の注文数が増加傾向にありましたね」

しかし、その弊害か、逆に古参客の足は遠のいていたとも。

「30分待ちもザラにあったから、最近はめっきり行かなくなっちゃいましたね……」(前出・バーガー菊池氏)

そうして59年の幕を下ろす珈琲西武本店。しかし、10月1日から歌舞伎町に場所を移し、「ハナミチ東京 歌舞伎町」としてリニューアルオープンすることが決まっている。新たな店舗について現在の珈琲西武の店舗責任者はこう話す。

移転の案内
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「現在使用しているソファーやステンドグラスなど、珈琲西武を象徴するものはそのまま移設し、レトロな空間を可能な限り残したいと考えております。
それとは対照的に、オーダーシステムなどは新しい技術も取り入れてまいりますので、引き続き、みなさまに心地良い空間を提供できるよう努めてまいります」

“新生・珈琲西武”にはどんな客が訪れるのか。それを観察するのも、この店で時間を過ごすまた新しい醍醐味のひとつだろう。

取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班