店内ではマルチやAVの勧誘も日常茶飯事
やがて時代は平成に移り、客層は多様化する。岩手から上京以来約30年、平成の珈琲西武を客席から眺めていた「実話ナックルズ」の名物編集者、バーガー菊池氏も思いを馳せる。
「ヤクザ、詐欺師、不良系、アダルト系の女優や男優、マネージャーなどさまざまなかたとの取材や打ち合わせに使いました。
さえない大学生がふたりのセールスマン風の男にマルチ商法の勧誘を受けていたりと、まわりを見渡せば金の話ばかりだったのが印象的でしたね」
マルチが横行していた背景をバーガー氏がこう分析する。
「歌舞伎町区役所通りにある某喫茶店は本業(ヤクザ)がいて怖いんですが、西武は駅もルミネも近くて邪悪な感じもせず、なんとなく文化的な香りがするから、ついつい安心してしまう雰囲気があるんだよなーと思って眺めてました」
また、「水商売系の面接をしているのもよく見かけた」(バーガー菊池氏)らしく、グラドルやセクシー女優の事務所関係者も、ここを勧誘の場として頻繁に利用していたらしい。
その当事者のひとりが、今年7月に第一子を出産した未婚の母にして、Kカップグラドル兼ど底辺ライターの吉沢さりぃさんだ。
「20歳のころ、池袋を歩いてたら『グラビアアイドルにならないか』とスカウトされて、後日、会う場所として指定されたのが西武でした。
店内はステンドグラスとかがゴテゴテしてて怖いなーと思ってたら『実はグラビアじゃなくてアダルトビデオなんだけど』って言われて、マジか……と。
もちろん、断りましたよ」