世界ダントツ1位! 年間約3800億円の取扱金額を誇る豊洲市場はなぜ国内外の人々をここまで魅了するのか
今年の初サンマが豊洲市場で過去最高の1匹2万5000円という高値でスタートした。「世界一」の魚市場として世界中から注目されている豊洲市場。そこには魚だけでなく、水産部門に関わる事業者、卸業者、仲卸業者、買出人や観光客と多くの人が集まる。なぜこの市場にはこんなにも人が集まるのか? 『魚ビジネス 食べるのが好きな人から専門家まで楽しく読める魚の教養』(クロスメディア・パブリッシング)より、一部抜粋・再構成してお届けする。
魚ビジネス#3
魚は機械だけでは取り扱えない
これには、魚の商品特性が関係しているといえるでしょう。鮮魚は現在でも生の冷蔵品が多く、日々入荷状況や品質が変わりやすい商品です。モノは別の場所に置きつつ、商談だけを行うという話は、日々品質が変わらないからできる話でもあります。
ここで、「画像や動画での通信を行えばできるのでは」と思う方もいらっしゃることでしょう。しかし、それでも細部の様子や微妙な色の違い、匂いなどの視覚以外の情報はやり取りしにくいところがあります。魚は日々変わる繊細なものだからこそ、日々、人の五感できちんと確認する必要があるのです。
このことが、物流と商流を切り離せなくしています。その結果、魚も人も一緒に集まってくるというわけです。
もちろん、今後、日々変わらない規格化された魚が増えてくれば、物流と商流を切り離して構築することも可能となってくるでしょう。そのカギを握るのは、冷凍魚や養殖魚、加工品といった定常を保てて量産できる水産品です。
ただ、それらばかりに溢れ、生の鮮魚がなくなってしまっては、日本の魚食文化の魅力は落ちてしまします。
そうならないためにも、豊洲市場のような魚市場は重要な役割を果たします。魚市場は、日本の素晴らしい魚食文化を守っていく役目も担っているのです。
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文/ながさき一生
『魚ビジネス 食べるのが好きな人から専門家まで楽しく読める魚の教養』(クロスメディア・パブリッシング)
ながさき一生
2023年4月14日
¥1,738
272ページ
ISBN:978- 4-295408-192
オバマ元大統領も、レディー・ガガも、デビッド・ベッカムも…
海外セレブが日本の魚に魅了されている!
おさかなコーディネータが教える、ビジネスパーソンが知っておきたい「魚の教養」
食として魚の魅力をわかりやすく解説し、日本テレビ系ドラマ「ファーストペンギン!」の漁業監修も手がけた著者による、世界に誇るべき日本の魚文化について紹介します。
本書は、魚にまつわるビジネスから、寿司の歴史、市場で美味しく魚を食べる方法、培養魚肉の最新技術など、明日から使える豆知識を紹介する「魚の入門書」です。
・「大間マグロ」はなぜ高級なのか
・急拡大する鮮魚の直販ビジネス
・「サンマが食べられなくなる」は本当か
・「サバ缶ブーム」はなぜ起きたのか
・市場で食べるべき魚とは
・今後市場はいらなくなるのか
・繁盛している魚屋の特徴
・アラ汁があると店の魚は美味しくなる?
・培養魚肉で変わる天然/養殖の位置づけ
など、ビジネスとしてだけでなく、魚を食べる、楽しむためのコンテンツが詰まった1冊です。