豊洲市場はなぜ世界一なのか
このような歴史の中で、豊洲市場は築地市場の時代から「世界一の魚市場」と言われるようになります。これは、「取扱量」と「取扱金額」が世界一だからです。
東京都の市場統計情報によれば、2021年の豊洲市場の取扱量は年間で約33.3万トン、取扱金額は約3800億円となっています。世界二番目の取扱量を誇るのは、スペインのマドリードにある魚市場「メルカマドリード」ですが、近年の取扱量は年間で約14万トン、取扱金額は1500億円程です。
ただ、広さに関してはメルカマドリードの方が広く、約176万㎡と豊洲市場の4倍以上の広さがあります。また、取り扱っている水産品の種類もメルカマドリードは多く、約1000種類と言われます。ちなみに、種類はどう区分けするかにもよるので単純な比較はできませんが、豊洲市場は約500種類となっています。
メルカマドリードとの比較からも、豊洲市場が世界一と言われる所以は、やはり「取扱量」と「取扱金額」にあると言えます。では、なぜその2つが世界一なのでしょうか。
これは、日本人の魚を食べる量が多く、その日本人が密集している地域だからということが、理由の1つでしょう。さらに、全国や世界に魚を流通させるハブの役割も担っている点も大きいといえるでしょう。
魚離れが進んだとはいえ、世界の中で見れば、今でも日本はかなり多く魚を食べる国です。FAO(国際連合食糧農業機関)の「世界・漁業養殖白書2020」の調べでは、世界における1人あたりの魚介類の年間消費量(※粗食量)は20.5㎏ですが、日本人は45㎏と倍以上です。
ただ、日本人の魚介類の消費量が年々減るに伴い、豊洲市場の取扱量と取扱金額も年々下がってきています。世界一の魚市場であり続けるためには、日本人の魚に対する関心がカギとなってくるでしょう。
※粗食量…食用向けの量。魚の場合、頭や内蔵なども含む。