厳しく心細いロリータ道

――すごく厳しい道だったのかなと思うんですけど、お仕事としてやられていく中で、大好きなロリータが嫌になってしまったり、距離を置きたくなることはなかったんですか?

なかったわけではないですね。ロリータはすごくニッチな業界なので、広げることは大変ですし、それぞれのプライドを持っているロリータブランドさんをつないだりするのも難しかったです。たとえば、ギャルファッションの業界だとモデルさん同士でタッグを組むイメージがありますけど、ロリータ業界では仲間も少なかったので。今もそうですけど、心細いロリータ人生だったと思います(笑)。

看護師×ロリータの二刀流だったから今がある。「生半可な気持ちで看護師をやらないでください」…ロリータモデル青木美沙子がそれでも看護師をやめないワケ_3

――孤独な戦いだったんですね。

ロリータファッションって着物と一緒で、敷居が高いと思われがちなんですよね。全身ロリータブランドじゃなきゃいけないとか、中途半端に着たらロリータの人に失礼なんじゃないかとか、こだわりの強いファッションゆえに怖がられるところがあって、私はそれがイヤだったんです。
だから、ロリータファッションのハードルを低くするために、しまむらさんとコラボさせていただいたりもして。プチプラロリータから、ロリータファッションに入ってもらいたいんですよね。

ファッションセンターしまむらとのコラボ
ファッションセンターしまむらとのコラボ

看護師×ロリータの二刀流

――お話をうかがっていると美沙子さんは、すごく戦略的ですよね。課題があったら、それを突破するにはどうしたらいいだろうってロジカルに考えて、行動に移してこられたのかなと思いました。

それって、看護師的な考え方なのかなと思います。看護師は、患者さんごとに、病気をどう治療していくかっていう関連図というのを必ず書くんですね。看護学生の頃から書いてきて染みついているので、その考えをロリータで実践してるところはあるかもしれないです。

看護師として勤務しているときの青木さん
看護師として勤務しているときの青木さん

――面白いですね。もし、看護師をやらずにロリータモデルの仕事だけをやっていたら、ここまでロリータ業界の課題に立ち向かっていなかったかもしれないですね。

そうですね。大谷(翔平)選手も二刀流で活躍しているし、今、いろんな仕事を持って視野を広げるのがいいとされていますけど、昔は看護師の同僚からネガティブなことも言われたんですよね。「看護師を極めないんですか」とか、「生半可な気持ちで看護師をやらないでください」って。でも今は、二刀流で仕事をしてきてよかったなってすごく思います。