街に馴染むファスト、自己中に生きるロリータ

――ロリータファッションの最大の魅力はどんなところですか?

一番の魅力はやっぱり、大人になってもお姫さまになれること。今、ファストファッションが溢れていて、街に馴染むお洋服を着るっていうのが若者のファッションの考え方だと思うんです。でも私にとって、ロリータファッションは戦闘服。着飾ることで、自分のコンプレックスや悩みを吹き飛ばせるんです。着ることで自信が持てるのも、ロリータの魅力だと思います。

高校時代の青木さん
高校時代の青木さん

――ロリータは、周りに合わせたり、モテるためのファッションじゃなくて、自分のためのファッションだともおっしゃっていますよね。

そうですね。周りに合わせないで自己中に生きるって、わがままな印象があると思うんですけど、私は、自分の人生なんだからわがままに生きていいんじゃないかなって思っています。人の意見に流されたり、SNSを見て人を羨んだりするのではなくて、自分がどう生きたいかに重心を置いて自己中に生きた方がいいと思って、私はロリータを着ています。

「ロリータババア」と言われても貫いた青木美沙子のロリータ道。「30歳で結婚、35歳で出産、40歳は落ち着いたファッション…日本の女性が抱えがちな社会的ルールから抜け出したくて」_4

――美沙子さんは「自分の人生を生きる」という、当たり前だけど実は難しいことの大切さをいつも発信していますよね。これまでたくさんの葛藤があったと思いますが、胸を張って自分の人生を生きられるようになったのはいつ頃だったんですか?

今でも全然、悩みはありますよ。でも、40歳になったらけっこう気が楽になりました。女性って、30歳になったらそろそろ結婚しなきゃいけないとか、35歳には子どもを産んでいないととか、40歳になったら落ち着いたファッションをしないといけないとか、そういう社会的なルールを心に抱えている人も多いと思うんですね。私は、全部そこから逸脱していますけど(笑)。

女性の30代って、結婚や子育てをしたり仕事をがんばったり、いろんな変化がある年代ですけど、40歳になって、その葛藤から抜け出せたことを感じました。

「ロリータババア」と言われても貫いた青木美沙子のロリータ道。「30歳で結婚、35歳で出産、40歳は落ち着いたファッション…日本の女性が抱えがちな社会的ルールから抜け出したくて」_5

――やっぱり30代は、迷いが多かったんですね。

めちゃくちゃ多かったですね。34歳の時にテレビ番組で年齢を公表したんですけど、それにもすごく恐怖を感じたし、ロリータを着続けることにも恐怖を感じて……ロリータババアって言われることも多くなりましたし、それとどう戦っていくかという葛藤が、自分の中で大きかったです。