「同期からも迷惑がられ、馬鹿にされる」清掃解雇
「学生舎には、学生30人に対して1人の割合で『指導官』と呼ばれる幹部自衛官が配されています。指導官は、我々学生の生活を監督することになっていますが、あまり機能はしていません。皆さん、だいたい事務室でくつろいでいらっしゃいます。
自分や同期の者が『ガイジ』と呼ばれ始めたときも、すべての居室で入室要領の指導を受けていたときも、毎日のように床にわざと靴墨をこすりつけられていたときも(清掃に倍以上の時間がかかる)、部屋解雇(自分の部屋に入るときにも、部屋長に対して入室要領をおこなわねばならない)されたときも、指導官は何も言いませんでした」
その後、山本さんに対する学生間指導はさらにエスカレートしたという。
「2週間ほど部屋解雇が続いた後、今度は清掃解雇されました」
清掃解雇(解放とも呼ばれる)とは、1学年が毎朝おこなう掃除を「やらせない」という嫌がらせだという。なぜ、掃除の免除が嫌がらせなのか。
「これも、建前では禁止されていますが、防大ではすべてが『連帯責任』です。つまり、『清掃解雇』の場合、本来なら自分が担当する作業を、同期が押しつけられることになるのです。ガイジになると、最初は同期たちから同情されますが、結局は自分たちの作業量が増えることになるので、次第に同期からも迷惑がられ、馬鹿にされるようになってしまいます」