着実に増えている日本の税収実績

次に、その計画を実行するときに、資金的なバックアップが必要だ。従って第二の条件は、②金融支援になる。企業の場合はそれをメインバンクが行う。日本政府の場合は、日本銀行が担う。低金利融資を続けて、発行する社債(国債)は買い入れを行っている。

ここで重要なのは、企業とメインバンクが完全な馴れ合いの関係ではなく、独立していることである。完全に馴れ合いになっていると、企業のどんな質の悪い社債でもメインバンクが買い取ってしまうと思われて、信用はがた落ちになる。日銀の独立性がそれを担保する。ただ、日銀は、実質的には超低金利を続けなくては、政府の債務管理計画は維持できない。従って、馴れ合いにならないギリギリの一線を引いて、政府との間で節度を保っている。

ここまで、財政再建が信用してもらえる方法として、①経営再建計画の発表、②十分な金融支援が必要だということを確認した。もう一つ重要なのは、③経営再建計画が実行されていることが、きちんと実績として示されていることだ。

日本の「財政再建」はいつまで信用を維持し続けられるのか? 防衛費の増強など「蟻の一穴」になりかねない歳出拡大の政治的誘惑_2

よく経営改革では、PDCAサイクルという仕掛けを用いる。計画(Plan)→実行(Do)→確認(Check)→改善(Action)という循環プロセスである。信用は、計画だけでは十分ではなく、実行して、計画をよい方向に改善し続けていることを示さなくてはいけない。③実績を示すことは、実行・確認・改善の証拠を提示するのと同じだ。

日本の財政の場合、まだ元本返済までは時間がかかるが、税収実績は着実に増えている。消費税率は2014年4月と2019年10月の2段階で引き上げられた。税収はそれ以前に比べて、格段に増えるようになった(図表3-1-2)。財政の信用は、痛みを伴う増税に耐えたことで上がった。特に、海外投資家からの信用は高まった。