日本一酔っぱらいがやってくる書店!?

少しクセのあるお客さんが現れるのも、24時間営業ならでは。

「1~2年に1回は警察のお世話になることがあります。繁華街で一杯ひっかけて来店してくださるお客さんもいるんですが、かなり酔っていて他のお客さんとトラブルに発展してしまうことがあるんです」(前出・出沖店長)。

その一方で、同じ酔っ払いでも、家族へのお土産なのか、ぬいぐるみを買っていく方も少なくない。

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ぬいぐるみコーナーも

ところで、普通の書店の倍以上かかるという営業経費は、どういった工夫で乗り切っているのだろうか? 

設備面では蛍光灯のLED化は当たり前で、それを通り越して、店内の蛍光灯を部分的に間引いているという。さらに人員面でも工夫がある。

「通常の書店なら閉店後にする作業を、昼間からどんどんすることで作業を夜中に持ち込ませないようにしています。そうすることで、夜中の営業を少人数で行えるようにし、経費を削減しています」と出沖店長は語る。

24時間営業を維持していくのは、小さな努力の積み重ねが欠かせないのだ。

若者の本離れが進み、ネットで本が購入できるこの時代、24時間営業にこだわる山下書店の試みは、本の価値を改めて確認させ、私たちに書店に行きたいと思わせる。

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取材・文/集英社オンライン編集部

山下書店
株式会社スーパーブックスによる運営で、大塚、羽田、世田谷、半蔵門、南行徳の5店舗を展開。正月三が日は時間を短縮するが、基本24時間営業。世田谷店では午後7時から翌朝の10時まで無人営業の実証実験を行っている。