川で流されたら、無理に立とうとしない
もしライフジャケットを着ていて流されてしまったらどうしたらいいのだろうか?
「浅い場所であっても無理に立とうしないことです。
流れが速い場合、もし川底の石の間などに足がはさまれたりすると、たとえライフジャケットを着用していても、動水圧で水中に体が押し込まれ、水面上に顔を出したり、脱出したりすることが非常に難しくなります。このような事故は、流れが速く、足がつきそうな浅い場所で発生します。
そのため、浅くて足がつきそうでも流れのある場所では、決して立とうとしないことです。
流れのある場所では、ライフジャケットを着用した状態で足を下流に向け、足先を水面まで持ち上げた姿勢をとることが重要です」(菅原さん)
元いた場所に戻ろうとするのも危険だ。
戻ろうとすると、流れに逆らって泳ぐことになりリスクが高くなるため、流れの穏やかな場所に向かって移動するようにしたい。
ライフジャケットを着用していれば、流れの進行方向を目視できるので、つま先を水面から出して浮き、両腕でバランスを取りながら、流れが穏やかな場所に避難することができる。
「泳ぐ場合は流れに対して直角に泳ぐと流されてしまうので、流れに対し上流側に斜め45度程度の角度をとることによって、自分の推進力と流れの力が合力となり、川の流れの力を利用して泳ぐことができます」(菅原さん)
救助する際は、救助者が川の中に入るとどうしても二次災害のリスクが高くなる。
「川で流されたら、流れの強さにより、あっという間に遠くまで運ばれてしまいます。
流された人を助けようとクーラーボックスやペットボトルなどの浮くものを探している間に、漂流者は遠くまで流れてしまいます。
また、それら浮くものを遠くまで飛ばし、流れの中で漂流者にピンポイントで届けることは至難の業です。そうならないように、万が一のときに備えスローロープを携行し、ロープを扱うことのリスクも理解した上で、瞬時に投げられるようにしましょう」(菅原さん)
ライフジャケットなどの必要な装備、気象情報、活動する場所の情報収集、この3つを必ずチェックして、常に「もしものとき」に備えながら、川のレジャーを楽しもう。
※記事内のイラスト、写真は河川財団「No more水難事故2023」より一部抜粋・転載
取材・文/百田なつき