エアーキャップでぐるぐる巻きにされた”何か”を放り込んでコンクリを流した

その日、井上容疑者らはAさんを引越し用トラックの駐車場まで運んだという。Aさんはそこから土岐容疑者の自宅に運ばれ、その後死亡したとみられている
元同僚が続ける。

「駐車場まで運んだ数日後に、下田は井上に命令されて木箱を作らされたらしいんですよ。その木箱に、引越しに使う布団袋やエアーキャップでぐるぐる巻きにされた“何か”を放り込んだあげく、コンクリを流したと下田が言ってました。その場には井上と下田の他に菅原もいたけど、菅原は途中で『営業に行ってくる』と退席したらしいです。下田は荷物の中身を聞かされてなくて、その時点では死体とは思わなかったと言ってました」

下田被告(元同僚提供)
下田被告(元同僚提供)

コンクリートを流し込んだ木箱を駐車場のトラックに放置したまま1週間が経った後、元同僚は井上容疑者に頼み事をされたという。

「井上が『レンタルボックスに荷物下ろしてくれない?』って頼んできたんですよ。『モノは何ですか』って聞くと『コンクリート』だって言うんで、そんなもん1人じゃ無理だからって断ったんですよ。今になってみれば、それが死体だったんだと思います」

そもそもこの事件の舞台となった「引越し業者」の実態はどんなものだったのか。元同僚はこう詳述した。

「菅原が社長で井上が補佐のような役割でした。私は元々会社にいたんだけど、コロナ禍がで仕事がなくなり、しばらく顔を出さなくなりました。2021年の4月ごろに出戻ると、それまで見たこともなかった井上が、菅原の右腕のように振る舞っていて『俺の言ったことは全部やれ』って感じで態度もデカかったです。従業員は5、6人で、私の下にSがいました」

井上容疑者は元ヤクザを鼻にかけ、一番若い下田被告を暴力で支配していたという。

「下田は週1の頻度で井上にエグい殴られ方をしてました。毎回1時間近くボコボコに血が出るまで殴られて、殴られすぎて痛みも感じなくなってたそうです。飛べばいいのに殴られても『ごめんなさい、ごめんなさい』って謝って、かわいそうなやつですよ。下田は仕事はめっちゃできるし、真面目だから休むこともしないんです。暴力で支配され、井上の命令で川口市内の貸コンテナに、コンクリ詰めの木箱を下ろしに行っちゃったんですね。でも下田がやったのはそこまでで、秋田にまで埋めに行ってはないと言っていました」