「奪い合う」価値観を「ゼロから創造する」価値観へ変えていく

——小学生や中学生の子どもが経営について学ぶメリットは何ですか。

学校も実は「経営」の対象です。学校で起こるいじめやからかいなども、実は経営によってコントロールできる可能性があります。

例えば、自分が持っているゲームを友人が返してくれず「返してよ!」といってもラチがあかない場合、どうすればよいでしょうか。そのときに自分できちんと考えて「友人はゲームを返したくないのではなく、ゲームがしたいだけなんだな」とわかれば、「うちでそのゲームを一緒にやらない?」という解決策が提案できます。

このように物事を経営視点で考えられると、子ども同士で解決できることが増えると考えています。そして、子どもにそんな力があることを、大人が知ることも大切だと思います。

知らないと大損!? 「お金優位」から「人優位」へ変革している日本経済。大重版『13歳からの経営の教科書』著者が教える、「所得は創造できる」時代に身につけたい経営マインド_3

——『13歳からの経営の教科書』では、中学生同士がさまざまなビジネスに取り組んでいきます。この物語を通して子どもに伝えたかったことは何でしょうか。

伝えたかったのは「価値はゼロから創造できる」ということです。物語の冒頭、主人公は「何かビジネスをしてみたい」という個人的な欲求から行動を起こしました。しかしだんだんと、他人にも応援されるような事業を手がけ、最後には価値のないものから価値を生み出していきます。このように、人との対立が解消し、協力をあおぎながら経営していけば、価値を創造できるわけです。

経営というと「所得の奪い合い」というイメージが強いかもしれませんが、それは固定化された市場内での話。しかし実際のところ、市場はグローバルで拡大しているので「所得は創造できる」と考えています。

資源は有限、でも所得や価値は無限。この価値観が普及すれば、詐欺や強盗などで「人から奪おう」と考える子どもや大人は減るのではないでしょうか。

『13歳からの経営の教科書「ビジネス」と「生き抜く力」を学べる青春物語』より
『13歳からの経営の教科書「ビジネス」と「生き抜く力」を学べる青春物語』より
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取材・文/金指歩

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『13歳からの経営の教科書 「ビジネス」と「生き抜く力」を学べる青春物語』
(KADOKAWA)
岩尾俊兵 
2023年6月29日
1,760円
296ページ
ISBN:978-4041125687
500mlのペットボトルの水が100円なのに、なぜ2Lの水も100円?
物語(小説)を楽しく読むだけで、自然と学べる「ビジネス」と「生き抜く力」!

(あらすじ)
中学校の図書室に忘れ置かれた不思議な『みんなの経営の教科書』と出会い、
ヒロトは仲間と共に社会の課題に向き合う――。

“人は誰でも自分の人生を経営している。だから、すべての人にとって経営は必要不可欠”
という強い思いから、中学生から社会人までが楽しめる物語形式で書き下ろされた、
これからの時代に必要なビジネス素養が身に付く本。

※本書は前から物語、後ろから“教科書”を読むことができます
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