ハメ撮り監督ほど楽しい職業はない

AVを撮り続ける一方で、庵野秀明監督の実写映画『ラブ&ポップ』(1998年)に、メイキングドキュメンタリー&特報カメラマンとして参加。また2019年には、『〜元気の出るごはん~タチ喰い!』(テレビ東京)で地上波ドラマの演出も手がけた。

「『ラブ&ポップ』で俺のことを知ったというサブカルの人は多いですね。あれは……ベストを尽くしました(笑)。現場に張りついていても、庵野さんがほとんどの演者とコミュニケーションを取らないから、つまんないんですよ。

ただ現場が、凍てついたまま進んでいく(笑)。それでもひと夏を一緒に過ごしたら何かあるんじゃないかと観察したけど、最後まで何にもなかった。それはそれで、最高ですよね(笑)。テレビドラマは、僕は普通のドラマ演出はできないので、『ハメ撮り風でやらせてくれ』と言って、カメラ1台で撮りました」

セクシー業界は昭和・平成・令和でどう変わったのか? 名監督・カンパニー松尾が「頑張る」女優に感じる違和感とは…「俺が撮りたいのは恥ずかしさや後ろめたい気持ち」_11

最新作の『ドキュメント サニーデイ・サービス』ではバンドの魅力や歴史をあぶり出す作品を手がけた。今後はAVの枠を超えた「ドキュメンタリー作家」としての活躍に期待がかかるが……。

「いやいや、ない。今回でもうお腹いっぱいです(笑)。それにAV監督は、めちゃくちゃ楽しいんですよ。だって、自分がやりたい女とやれるんだから……って、こんなこと言っていいのかな?(笑)。

ハメ撮り監督なので自分の好きに撮影を組めるし、好きなバイクもカレーも、音楽も採り入れてやれている。何も我慢してないし、難しいと思ったことは1ミリもないです。最高ですよ」

セクシー業界は昭和・平成・令和でどう変わったのか? 名監督・カンパニー松尾が「頑張る」女優に感じる違和感とは…「俺が撮りたいのは恥ずかしさや後ろめたい気持ち」_12
すべての画像を見る

前編はこちら>>

取材・文/泊 貴洋
撮影/村上庄吾
場面写真/©2023 ROSE RECORDS / SPACE SHOWER FILMS
編集/一ノ瀬 伸

セクシー業界は昭和・平成・令和でどう変わったのか? 名監督・カンパニー松尾が「頑張る」女優に感じる違和感とは…「俺が撮りたいのは恥ずかしさや後ろめたい気持ち」_13

『ドキュメント サニーデイ・サービス』(2023年)
監督/カンパニー松尾
ナレーション/小泉今日子
出演/サニーデイ・サービス(曽我部恵一、田中貴、大工原幹雄)、丸山晴茂、渡邊文武、藏本真彦、新井仁、杉浦英治、北沢夏音、やついいちろう、山口保幸、小宮山雄飛、ワタナベイビー、夏目知幸、安部勇磨
配給/SPACE SHOWER FILMS

1992年に曽我部恵一、田中貴らを中心に結成され、今年、CDデビュー30周年を迎えるサニーデイ・サービスのドキュメンタリー映画。コロナ禍の全国ツアーに密着しながら、メンバーや関係者による証言でバンドの歴史を振り返る。新旧の貴重なライブシーンや、カンパニー松尾ならではの映像美も見どころ。

7月7日(金)渋谷シネクイントほか全国公開
公式HPはこちら https://films.spaceshower.jp/sunnyday/