「AV女優を頑張らないで!」
監督デビューから35年。昭和から令和にかけて、AV業界ではどんな変化があったのか。
「すげぇ変わりましたよ。ビデオソフトからDVDになり、今は配信。カメラも変わりました。でもカメラはね、ちょっと前に出たのを使ってるんですよ、俺は。手ブレするので、ハメ撮りはデカすぎても小さすぎてもよくない。相手との距離が近いので、広角も大事。ちょうどいいのはソニーのハンディカムで、5年くらい前に出たFDR-AX60を使ってます。
一番変わったのは、女優さんかな。昔はAVに出たら『堕ちた』と言われたし、AVに出ることは非常に恥ずかしく、人目をはばかるようなことでした。でもSNSが出てきた頃から時代が変わって、『AVを頑張る』っていう子が増えたんですよ。
AVを自分の表現活動と考えて、お友だちに認められたり、親に認められたりすることも、いいとは思いますよ。ただ、『AV頑張る』って言ってる子が、『アッハーン』っていうのは、なんかつまんない(笑)。AVは頑張らなくていいんです」
その理由は、頑張れば頑張るほど、「嘘」になっていくからだろう。
「AVの9割以上は企画が決まっていて、このシチュエーションで絡みは何回って決まってるんです。女の子は事前に『うんこはしません』とかNGを決めることができるけど、仕事だから自分の性癖に沿わないものもやらなきゃいけない。
そうすると、頑張らなきゃいけないし、“演じてる風”になる。俺が撮りたいのは、人間の内側というか。裸になることの恥ずかしさや、後ろめたい気持ち、そのものを知りたいんです」