セクシー業界は昭和・平成・令和でどう変わったのか? 名監督・カンパニー松尾が「頑張る」女優に感じる違和感とは…「俺が撮りたいのは恥ずかしさや後ろめたい気持ち」_3

「ハメ撮り」に目覚めさせた伝説のAVアイドル

自らカメラを持って「ハメ撮り」を始めたのは、伝説的AVアイドル・林由美香(2005年没)との出会いがきっかけだった。

「林由美香が18〜19歳、僕が23歳のときに仕事をして、インタビューで聞いたんですよ。『君はかわいいのに、何でこんな仕事をやってるの?』って。そしたら林由美香は『私は自分らしくありたいと思って、この仕事をやっている』と。

それを聞いたときに、また電流が走ったというか。僕はAV監督でありながら、AVを否定するような言い方をした。だけど、裸の世界で生きていく覚悟を持って来ている子もいるんだと知ったんです。

それから林由美香を、本気で好きになりました。でも俺がやってるのは、男優さんを当て込んで、セックスが終わったら、『気持ちよかった?』と聞きに行くこと。彼女は体を張ってるのに、安全圏から『どうだった?』と聞く俺は、相当間抜けでダサいなと。

自分が体感することで想像以上のものが撮れるかもしれないし、『女優・林由美香』じゃなく、その先の本人に会えるかもしれないと思って、ハメ撮りを始めました」

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1990年の林由美香(右)と松尾のツーショット
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以降、有名・無名を問わず、女性のリアルな言葉と性を捉えたドキュメントAVは、多くのファンを獲得していく。一方、娯楽性の高い企画モノとして人気を得たのが、素人女性のナンパを競う『テレクラキャノンボール』だ。

『劇場版テレクラキャノンボール2013』は、ミニシアターで観客動員1万人超えのヒットを記録。

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『劇場版テレクラキャノンボール2013』より

SPACE SHOWER FILMSのプロデューサー・高根順次氏との巡り合いにつながり、のちに『ドキュメント サニーデイ・サービス』が誕生する。

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『ドキュメント サニーデイ・サービス』より