六代目を「直接見てはいけない」

公安委員会が決定した事務所の使用制限前は、持ち回りで行われていた山口組総本部の当番があった。組員が六代目の顔を見ることができるのはこのときくらいだと言われるが、それも容易なことではないという。

「せっかく当番で本部へ来ても六代目が乗った車にはスモークが貼ってある。乗り降りの際も直接見てはいけないことになっているから、六代目が建物から出て車に乗るまで全員後ろを向いていなければならない。
だから本部に行っても六代目の顔を見られる機会は滅多にない。さらに傘下の下部組織は総本部へ行く機会すらないし、行っても中に入れない。

ただし、弘道会の組員だけは別。六代目は自分たちの組の親分でもあるので、事務所に出入りしていればその姿を見ることもあるだろうし、世間話をしたことがある者もいるはずだ」(E氏)

※写真はイメージです(shutterstockより)
※写真はイメージです(shutterstockより)
すべての画像を見る


自分たちの親分を直接見てはいけないとは驚きだが、その決まりは「相当昔、山口組が分裂する前からそうだったはずだ」とE氏。

「警察の監視があるので、行動や行き先は前もって知らされることはない。
事前に日にちと場所がわかっていても六代目の顔を見られる機会は、恒例の餅つき大会ぐらいだ。幹部や直参以外は話し声を聞く程度だと思うが、間近で六代目を見ることができる唯一の機会かもしれない」(E氏)

そんな親分や組のために、嫌とも言わず命を懸ける。
「それがヤクザ稼業といえばそれまでだが、カラダを懸けた分だけ見返りが欲しいのが組員の本音だ」とE氏は代弁する。

賞揚等禁止命令が出されたと聞き、服役中の組員らは、何を思うのか。

取材・文/島田拓
集英社オンライン編集部ニュース班