ペディキュアは爪周辺の角質を取りすぎない
巻き爪と陥入爪(かんにゅうそう)の違いについて聞かれることがよくあります。陥入爪とは爪が皮膚を傷つけて炎症を起こした状態をいい、その原因は巻き爪とは限りません。
ただ、当院を受診される巻き爪の患者さんの多くが陥入爪の状態になってらっしゃいますし、逆に陥入爪の患者さんの多くは巻き爪が原因です。
つまり臨床現場では巻き爪≒陥入爪なのでこれらを厳密に区別する意義が薄いのです。
陥入爪は痛みが強く、歩行や靴選びに差し支えが出やすいものです。
そういうことにならないためにも、予防をしっかりしましょう。
巻き爪の予防は靴やストッキングによる圧迫を避けることが大切です。
靴はデザインと機能性のバランスを考え慎重に選びましょう。
治療により痛かった靴が履けるようになるのは嬉しいものですが、また靴で圧迫すれば容易に再発してしまいます。
足を履物に合わせるのではなく、履物のほうを足に合わせるという考えが大切なのは言うまでもありません。
お仕事によっては、ハイヒールやストッキングを履かなければならない方もいらっしゃいます。
そうした方は、休日や出勤の時には負担の少ない靴を履き、必要なときだけ履き替えるといった足へのいたわりも大切。夏場はサンダルやオープントゥの靴を選ぶといった工夫も有効です。
爪の切り方も注意が必要です。
巻き爪の人は痛さを軽減しようと、深爪にしてしまう傾向があります。
深爪だから巻き爪になるというより、巻き爪のため深爪してしまい、さらに悪化してしまうのです。
爪の切り方は、足の親指の場合、爪は長めにして、角は切らずに先端をまっすぐ切るスクエアカットをするようにしましょう。こうすることで深爪から陥入爪に発展するのを防ぐことができます。
また、よく聞かれるのはペディキュアやジェルネイルをしてもいいか?ということです。
ネイル自体は巻き爪であっても問題ないのですが、ネイリストが爪周辺の角質を取りすぎてしまうと痛みの原因にもなるので、気をつけましょう。
また、3Dネイルなど厚みが出るものは爪を圧迫するので避けてください。
巻き爪で痛みを伴う場合は早めに病院を受診しましょう。
できれば、爪の専門クリニックを受診いただくのがおすすめですが、近くにないようであれば、まず皮膚科を受診してください。
治療は受診先や症状によってさまざまですが、お薬やテーピング、手術や器具をつかった矯正法などがあります。
巻き爪を発症する背景にファッションや仕事、生活様式など、その方のライフスタイルがあり、これらは簡単には変えることができないため、どうしても再発傾向が高くなりがちです。
治療が終わっても、爪の切り方や履物の選び方を指導してもらって、しっかり再発対策をしましょう。
爪の痛みは放っておくと、高齢者では転倒の原因になり、骨折から寝たきりになってしまう場合がありますし、若い人でも、悪化して手術が必要になったり、腰痛の原因にもなったりします。
早めにクリニックを受診して、対策を医師に相談しましょう。
取材・文/百田なつき