LINEを埋め尽くす呪いの言葉
ーー自分の人生がイマイチの時に、犯人から甘い言葉をかけられ、実際に数字が上向いたので乗りかかった船から降りられなくなったと。チャットレディーを始めた彼女は、その後も続けていたのですか?
結局、アダルトが嫌になって、ノンアダルトに切り替えたところ、客がつかなくなって辞めたと。同時期に並行して彼女が手を出したのが、セクキャバです。体験入店だったのですが、JKのような格好をさせられ、中年男性を相手に胸を触られたりして、吐きそうになったと言っていました。結局、1日と持たず、泣きながら帰宅したと振り返っていました。
沙也香さんの心の傷は本当に深くて、時折、当時を思い出してムッとしたような、尖った表情を見せるので、僕も腫れ物に触るような気分で質問をしていましたね。特に彼女は、犯人への最後の捨て台詞が強烈でした。LINEのトーク履歴を見せてもらうと、
〈詐欺師め、呪い殺してやる〉
〈死ね死ね死ね死ねくそ人間死ね死ね死ね死ね〉
と恨みつらみが綴られていて、彼女の見た目とのギャップというか、その変貌ぶりに驚きました。国際ロマンス詐欺の被害者も本当に様々で、こんな形で苦しみ続けている人もいるんだという現実を知らされました。
ーー沙也香さんへの取材が終わった後、水谷さんは犯人にもアプローチされていますよね。どんな反応でしたか?
沙也香さんは犯人のLINEアカウントを持っていたので、それを送ってもらい、「私は国際ロマンス詐欺を取材しているジャーナリストです。加害者の視点からコメントを欲しい」と伝えると、すぐに既読になり、しばらくやり取りができました。
僕の追及には、全くというか、動じていない様子。それどころか卑猥な動画を送ってきたりと、おちょくっているのかと思いました。海外にいて絶対に逮捕されないと高を括っていることの表れかと。ただ、沙也香さんからお金を取った事実は認めていて、「彼女の欲が原因だ」と、開き直りにもならない身勝手な主張をしていました。