レベル3
社会に順応して生きるためには、
差し控えたほうがいいTシャツたち
こんな僕も20代、30代の頃は当たり前、40代になってからもしばらくは、どんなに変なTシャツでも平気で着て外出していた。
しかしアラフィフと呼ばれる年になった頃から、徐々にこのこれらのTシャツを着る機会は減っていったような気がする。
「ブラー」の山瀬まみTシャツ
oasisと並び1990年代のブリットポップムーブメントを支えたバンド、blurが1991年に発表したファーストアルバム『leisure』。
僕の愛聴盤なのだが、そのジャケ写がプリントされたTシャツは、まあ着にくいこと着にくいこと。
リリース当時、音楽好きの間では「ブラーの山瀬まみアルバム」と呼んでいたものだ。
この強烈な写真はアルバムのために撮り下ろされたものではなく、1956年に撮影された商業写真をトリミングしたもの。
ボーカルのデーモン・アルバーンがストックフォトの中から見つけて「美しい」と称賛し、そのままデビューアルバムのジャケットにしたのだという。
そんな蘊蓄はどうでもよくなるくらい、着にくいんだって。
「リチャード・ヘル&ヴォイドイズ」の変質者Tシャツ
リチャード・ヘルがテレヴィジョンを脱退し、ジョニー・サンダースがニューヨーク・ドールズを抜けて結成したハートブレイカーズのメンバーとなったのち、1976年に結成したリチャード・ヘル&ヴォイドイズのファーストアルバム『ブランク・ジェネレーション』(1977年)のジャケット写真をあしらったTシャツ。
って、このカタカナの羅列は、パンクに興味のない人にとっては、きっと読むのも苦痛だろうな。
でもパンク好きにとって『ブランク・ジェネレーション』は超重要なアルバムなので、この写真もなじみ深いはず。
数年前に普通に着ていたら、当時小学生だった娘から「パパのTシャツの人、なんで裸を見せてるの?」と聞かれてドキッ。
確かに言われてみたら、通学路に潜む変質者に見える。
それ以来、着ないようにしています。
「ザ・レジデンツ」の変態Tシャツ
1969年から活動する、アメリカの前衛音楽・実験音楽集団のザ・レジデンツ。
活動歴は50年以上におよび、スタジオアルバムだけでも37作を発表しているのに、その正体はいまだベールに包まれているバンドだ。
4〜5人いるらしいメンバーは全員匿名で、ライブのステージではタキシードを着て“アイボールヘルメット”というマスクをすっぽりかぶり、インタビューなどの取材は一切受けない。
もちろん長い活動歴の中では、メンバーではないかと噂された人物やほぼ確定的とされた人もいるが、謎は謎のままにしておこうとメディアも深く詮索はしない。
そんなレジデンツのTシャツだが、本当はタキシードのはずの体が艶かしい女性に変換されている。
目玉親父みたいなマスクと相まってかなり不穏な雰囲気を醸し出すこのTシャツ、何年か前に妻から着用禁止令が出た。
「the 原爆オナニーズ」のバンド名表記Tシャツ
1982年からコンスタントに活動を続ける日本の現役パンクバンド、原爆オナニーズのTシャツ。
バンド名が漢字とカタカナで思い切りプリントされたTシャツも持っていたので、そっちを紹介しようと探したのだが見つからなかった。
思い起こせば、娘がまだ小学校に入学する前、覚えたてのひらがなやカタカナが目に入ると、片っ端から声に出して読むようになったので、思い切って捨てたような気がする。
もったいないことをした。どっちみち着ないけど。