ネコは30歳、ヒトは125歳まで生きる日が来る?奇跡のタンパク質「AIM」の最前線 後編 病が無くなる日を目指して_2

――AIMによってネコの寿命が現在の倍の30歳くらいになるとのことですが、人間の寿命も、AIMによって伸びるのでしょうか?

人の場合も、致死的な病気すら起こらなければ、耐久年数は125歳くらいだと言われています。常にメンテナンスしていれば長持ちする車と同じですよね。ただし、いつかカタッ、と動かなくなってしまうのは仕方のないこと。それが本当の寿命なわけです。AIMがちゃんと働いて、そこになるべく近づけていくことができれば、ネコも人間も、寿命は絶対に伸びるはずです。

――最後に、『猫が30歳まで生きる日 治せなかった病気に打ち克つタンパク質「AIM」の発見』がオーディオブック化されますが、今後期待することは?

やはりたくさんのネコのオーナーさんに、ネコの腎臓病は先天的なものだと知っていただきたいですね。あとは若い研究者にも読んでもらいたいです。私は臨床の現場で働いている時に、治せない病気があまりにも多いことにショックを受けて研究をスタートしました。そして、治せない病気を治すという信念とモチベーションに従って、やりやすい環境に次々移って研究をしてきたつもりです。今は息苦しそうにしている若い研究者が多いと感じるので、場所や組織にとらわれずもっと自由に、好きなように研究をしてもらいたいと思っています。困っていれば必ず誰かが助けてくれることは、私自身が経験で学んだこと。一つのサンプルとして、この本を読んでヒントにしてもらえたらうれしいです。

ネコは30歳、ヒトは125歳まで生きる日が来る?奇跡のタンパク質「AIM」の最前線 後編 病が無くなる日を目指して_3
宮崎徹 みやざきとおる
一般社団法人AIM医学研究所代表理事・所長。長崎県生まれ。1986年東大医学部卒。同大病院第三内科に入局。熊本大大学院を経て、1992年より仏ルイ・パスツール大学で研究員、1995年よりスイス・バーゼル免疫学研究所で研究室を持ち、2000年より米テキサス大学免疫学准教授。2006年より東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター分子病態医科学教授。2022年4月より現職。

一般社団法人AIM医学研究所

https://iamaim.jp

■著書

猫が30歳まで生きる日 治せなかった病気に打ち克つタンパク質「AIM」の発見
宮崎 徹
ネコは30歳、ヒトは125歳まで生きる日が来る?奇跡のタンパク質「AIM」の最前線 後編 病が無くなる日を目指して_4
2021年3月17日発売
1,980円(税込)
単行本/244ページ
ISBN:978-4-47-8871755-8
ネコにとって宿命的な病である腎臓病の治療が、血液中のタンパク質AIMによって可能になることを解明した、宮崎徹氏の最新医療研究をまとめた一冊。AIMはネコだけでなく人間にも効果があり、腎臓病のみならずアルツハイマー型認知症や自己免疫疾患など、これまで治せないと言われてきた病気への活用も期待できることをわかりやすく解説。印税の一部は、ネコと人間の腎臓病研究などの費用に充てられる。
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オーディオブック版
人気声優・浅野真澄氏が朗読を担当。浅野氏自身も、保護猫4匹と暮らしている。
猫を愛するすべての人に聴いてもらいたい新作オーディオブック作品。

ナレーター: 浅野真澄
配信先:「audiobook.jp」 https://audiobook.jp/product/264300
価格:1,980円

サンプルはこちらから↓

取材・文/松山梢 撮影/石田壮一