「あったら便利」はなくていい
「私たち、昔はコンランショップで普通に家具やシーツを買っちゃっていたけど、今はIKEAや無印良品で十分だよね」
そう話すのは、ご近所に住むスーパーラグジュアリー系のスタイリスト。
インテリアも、10数年前くらいまではインポートやセレクトショップに行かなければ趣味のよいものが揃わなかったので、海外に行くたびに重い食器やシーツを買って帰ってきたものでした。
それが、IKEAが入ってきて事情が一変。北欧のシンプルで趣味のよい食器やファブリック、家具がすごくお手頃な値段で買えるようになったのです。
IKEAは最初は郊外にしか店舗がなかったので、とても不便でしたが、今では、原宿や渋谷で簡単に買えます。ホームページから通販もできます。もう、食器からフラワーベースまで我が家はIKEAです。
DAISO(ダイソー)など、百円均一製品のデザインの最近のアップデートには目を見張るものがあります。特にDAISOのちょっとお高いバージョンのStandard Products 。このブランドは、ちょっと前まで安かろう悪かろうで一時しのぎ的に利用していた〝百均〞のイメージを覆しました。
服も、「ユニクロ安い!」という時代ではなくなりつつあります。そもそも若い子にとってはユニクロもZARAも安い服ではありませんし、私たちにとっても、昔のDCブランドくらいの価格に感じるのではないでしょうか。
30年も賃金が上がることがなかった日本に住んでいるのでそう思うのは仕方がないことかもしれません。考えると哀しいことですが、収入が増えないぶん、暮らしやおしゃれに必要なものがお手頃価格で手に入る時代になったのですから、まあ、なんとか生きていけるわけですね。
そんな、「お手軽に買えるもの」には罠もあります。今までの価値観から考えたらびっくりするほど安く買えるので、ついつい「あったら便利」なものを買ってしまうのです。これ、絶対にやめましょう!
「あったら便利」は「なくても生きていけるもの」です。
特に百均のお店では、価格の安さに脳がフィーバーしてドーパミンが大放出。会計のときに「こんなはずではなかった合計のお値段」に泣いたのは私だけではないはず。
服やコスメを買う場合も同じです。
もう一度言います。
あったら便利、はいらないもの!
私もこれからはこれを目指していきます。
文/地曳いく子 写真/shutterstock