日本中を熱波が襲っていた夏の昼下がり。
ブランドショップが建ち並ぶ日本有数のファッションストリート、東京・南青山の骨董通りにあるCOEL cafeを訪ねた。
昼食や食後のひと時を楽しんでいる人々でカフェのシートは満席に近い。
奥にあるCOELのショップも、ショッピングを楽しむお客さんで賑わっている。
どなたに声をかければいいのだろう? どこかにマネージャーさんがいるのかな? ショップスタッフに取り次ぎをお願いすれば? と思い、エントランス付近で佇んでいると、店内にいたスタイルのいい女性が、我々取材スタッフ一行の存在に気づき歩み寄ってきた。
「こんにちはー、よろしくお願いします」
明るく声をかけてくれたその人こそが、今回の主役・ヨンアさんだった。
3カ月のみの期間限定ショップのはずだったが、好調のため常設店に
ヨンアが2018年に立ち上げたブランド・COELの路面店が、コロナ禍の煽りを受けて不況に喘ぐアパレル業界の中で、異彩を放つほどの成功を収めているという噂を聞きつけ、その秘密を探るべく、今回のインタビュー取材を申し込んだ。
COELは創業当初から常設店を持たず、期間限定のポップアップショップとECのみでの販売で認知度を広げてきた。
骨董通りのこのショップも2021年10月に、3カ月だけの期間限定ショップとしてスタートしたものの、あまりの盛況ぶりにそのまま常設店として継続することが決まったという、異例の成立過程を持っている。
モデルの仕事の合間を縫い、ヨンア本人が店頭で接客していることもファンの間では大きな話題になっているようだ。
取材スタッフに対しても、「お待ちしていましたよ。どうぞこちらへ」と、みずから奥のソファー席へと案内してくれる彼女に、一流モデルという存在に対して我々が勝手に抱きがちなイメージ、敷居の高さや高慢な雰囲気は微塵も感じられない。