部数が減ると国に媚びる最悪の経営陣

――新聞社でもう一つ大きいのは経営レベルの致命的な問題です。ご存知のように、いま新聞は発行部数が大幅に減ってどこも経営がピンチに陥っている。購読者は高齢者しかいなくなり、広告の単価も激減しています。
かつて、朝日新聞の一面広告は3000万円と言われましたが、いまは数百万まで単価が落ちている。それでも誰も出してくれない。そこで、弱りきった新聞を何が支えているかというと、政府広告、自治体広告です。
経営が傾いた結果、税金ビジネスと言いますか、電力会社なんかも含めて公的な団体・機関への依存度が上がってしまったのです。その結果、当然、広告料を払ってくれる団体を批判しにくくなる。経営的にも「なるべく政府や自治体とことを構えるな」と。

 そうそう。

「テレビと新聞は情報を発信する権利を独占してきたが、その権利を奪うインターネットが脅威なんです」新聞メディアが前明石市長・泉房穂をやたらと攻撃する理由_5
©MAKIKO

――明石市を例にとると、地元新聞は明石市に新聞をいっぱい買ってもらって、コマーシャルも出してくれる限りは応援するけれど、そうでなくなった瞬間に牙を剥く。現場だけじゃなく経営を担っている上層部も腐っているというのが、新聞の現状です。市長をやっていると、これ感じません?

 それはもう、明らかにそうなってますよ。明石市長になったときにビックリしましたが、自治体と地元紙の癒着は酷いもんです。「知る権利」の観点から、新聞に軽減税率8%が適用されること自体、ダメとは言いません。でも、なぜ定期購読の新聞だけやねん。駅売りの場合は10%だし、出版社が出す雑誌や書籍も10%でしょ。

国民の知る権利に奉仕してると主張するなら、メディア全体が8%で共同戦線を張って、一緒に闘えよ、と思う。なんで自分たちだけ得してんねん。それこそ、大手新聞社が政府と手を繋いでるだけですやん。

自分たちが優遇されていることもあって、新聞が消費税増税を批判できなくなった。これは大問題だと思います。

メディアたるもの、魂だけは失ってはいけないと思うのですが、残念ながら魂を失いかけているように見える。体質はいつまでも古いままで、紙面の中身はどんどん悪くなっているように感じる。

「テレビと新聞は情報を発信する権利を独占してきたが、その権利を奪うインターネットが脅威なんです」新聞メディアが前明石市長・泉房穂をやたらと攻撃する理由_6
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――中にいるとよくわかるのですが、これまでテレビと新聞は情報を発信する権利を独占してきましたよね。それによって、やたら高い社員の給料を維持してきた。

彼らにとって、自分たちが独占してきた権利が奪われてしまうから、インターネットは脅威なんです。さらに、今まで情報を独占して威張ってきたから、インターネットとかITとか、新しい技術を学ぶ謙虚さも足りない。だから乗り遅れちゃったんです。

ネットに対して嫌悪感があるから、ネットメディアが泉さんを持ち上げると、新聞は逆に「ネットで褒められるような人間は大したことない」と、インターネットの価値を低く見ることで自分たちを上げようとする。そういう心理構造になってしまっている。


 新聞がやたら私や明石市を攻撃するのは、そういう事情もあるのでしょうね。

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『政治はケンカだ! 明石市長の12年』(講談社)
泉房穂 鮫島浩
「テレビと新聞は情報を発信する権利を独占してきたが、その権利を奪うインターネットが脅威なんです」新聞メディアが前明石市長・泉房穂をやたらと攻撃する理由_7
2023年5月1日
1980円
272ページ
ISBN:978-4065318997
こころ優しき社会は闘争の先にこそ実現する!
閉塞しきった日本の政治を、たった一人で変えた男の記録

「冷たい社会を優しい社会に変える」ーー
10歳にして決意し、47歳で市長になった。
議会、政党、宗教団体、市職員、マスコミ…
利権まみれの敵に囲まれる四面楚歌のなかで
独り「ケンカ」を挑み市民の圧倒的支持を得た。
明石市長を卒業した翌日に刊行する本書は、
圧倒的多数の庶民とともに立ち上がる、
新たな政治闘争宣言である。
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