まだ国内では浸透性の薄い、育休取得の現況

ふと周囲を見渡すと、育休を取得しているという男性に出会ったことがない。ちなみに大手出版社に勤務する編集者さんも「周りでは聞いたことがない」と言う。

独身ベースで生活をしていると、そういった人物に会う機会も減るという事実も否めないが、子供が誕生したばかりの男性から、聞いた話がある。育休制度を利用しないのか、と尋ねると

「無理無理。実際、社内で取得した人はいない。もし利用して復職をしても、自分の座席があるのかどうか保証もないし、仕事の勘を取り戻す自信もない」

ということだった。これは都内在住の男性の話。私の地元である静岡県浜松市で、知人に育休に関することを聞いてみると

「(育休という)風潮さえない。東京でやっているのかなあ、という感じ。そもそも地方だと噂話が早いんだよね。お父さんが朝から晩まで育児をしている様子を、近所のおばさんが知ったら、あらぬ噂も立てられそうだし。結局はお母さんが産休、育休を取るしかない」

ドラマ『育休刑事』なるものまで放送開始。NHKはなぜ今”育休”テーマを頻繁に取り上げるのか_2

こちらも生々しい意見である。ちょうどこのコラムを書いている当日、朝日新聞にこんなニュースがあった。クレジットカード会社に勤務していた女性が産休、育休を経て職場復帰すると、かつて37人の部下を率いていたチームが消えていたそう。女性は電話営業の新設部署に異動となり、裁判を起こしたという。母親でさえもこの有様だ。