今でも“復活してほしい雑誌”調査の常連上位
──「ロードショー」最後の日を覚えていますか?
校了日に『めざましテレビ』の取材が入ったんです。老舗雑誌が最終日を迎えるということで取材したいと申し入れがあって。最後に、編集長が「はい、これですべて校了です」と言って、みんながパチパチって拍手をして。普段はぜったいそんなことやらないのに(笑)。
──テレビ向けの演出ですね(笑)。
そう。ちなみに、編集部内には“整理”っていう役職があるのね。当時はいまみたいにデータ入稿じゃないから、写真と原稿がちゃんと揃っているか確認する大切な仕事で。そして、整理担当の人が校了紙を通用口に運ぶと、あとで印刷所が受け取ってくれる仕組みになっていた。最終号の最終校了日、整理のおじさんが、「最後は杉原が下ろしな」って言ってくれて。
──粋な計らいですね。印刷所に渡す最後の原稿を運んだんですね。
私の“ロードショー愛”をわかってくださっていたから。泣きながら校了紙を通用口に運びました。
──その後、「ロードショー」を振り返る機会はありましたか?
新聞や雑誌で、“復活してほしい雑誌”なんていうアンケートがあると、今でも「ロードショー」が必ず上位に入るんです。昨年も「週刊女性」のアンケートで2位になりました。
ほかにも、読者の人生に影響を与えたんだなって気づかせられるタイミングがしばしばあって。たとえば、読者コーナーを担当していたんだけど、「ずっと読んでました! ハガキが採用されたこともあるんですよ」って言ってくれる人と会ったり。つくづくみんなが若い頃に一度は読んでいた雑誌なんだなあと実感します。そんな雑誌なんてあまりなんじゃないかな。女性だったら女性誌でそういうことはあるかもしれないけど、男性も「買った、買った!」って言ってくださる。非常にユニークな雑誌だったと思います。
──どんな世代の人が多いんでしょう?
創刊したのは、そうした需要があったからだから、70年代に読んでくれていた人はやっぱり熱い。80年代の読者…私もそこに当たるけど…これも熱いですね。80年代のハリウッド映画といえば、ルーカスとスピルバーグがいて、明るく楽しくていい映画がいっぱい出ましたし。
──昨年、集英社オンラインの映画記事レーベルとして復活し、「開運! なんでも鑑定団」ではスターの色紙が鑑定に出されて、話題になりましたね。
集英社オンラインでの復活が決まって、資料を整理しているときに、写真は使い道があるけれど「サイン色紙はどうしよう?」となった。若いスタッフが、「鑑定団に出してみたらどうですか?」って言ってくれて。制作会社に相談してみたら「ぜひやらせてください!」となって。
──今後の「ロードショー」はどうなっていきますか?
読者のみなさんが、新しい映画やスターに出会うきっかけを提供するというテーマは、紙版から集英社オンラインへと引き継いでいきます。そのうえで、歴史ある雑誌「ロードショー」のレガシーを生かしていきたい。「鑑定団」のおかげで、管理状態が悪かったスターのサイン色紙も、温度と湿度管理がしっかりした倉庫に移してもらえた。その展示をからめたイベントを企画したいです。
また、この連載を書籍化したり、「ロードショー」が主催していた賞を見直すなど、「ロードショー」が残したものをマルチに生かしていければと思っています。
取材・文/小西未来
※雑誌「ロードショー」の表紙から歴史を振り返る「COVER TALK」は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。