尾上菊之助の『FFX』へのリスペクトが出発点
3月4日よりIHIステージアラウンド東京(豊洲)で上演中の『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』が、4月12日で閉幕となります。
観るべきか否か、かくいう私も最初は迷っていました。ネットのレビューは絶賛もあれば、厳しいものもちらほら。ならば自分の目でたしかめよう。ようやくチケットを購入したのが3月末のこと。観劇日は、4月2日です。
少年時代に『ファイナルファンタジー(「FF」)Ⅱ』にハマった私は、まさに『FFX』までがリアルタイムで遊んだFFシリーズでした。一方、歌舞伎についても、『スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース』や『新作歌舞伎 風の谷のナウシカ』(以下、『ナウシカ歌舞伎』)など近年話題となったアニメ・コミックを原作とする新作歌舞伎について、著書『伝統芸能の革命児たち』などで書いてきました。
ですが、『FFX』が歌舞伎化と聞いても、にわかにピンとこなかったのです。リメイク進行中の『FFⅦ』のほうが妥当ではないか。昨年のベストRPGとして呼び声高い『ELDEN RING』のほうが話題になるのではないか、なんてことを思ったりもしていました。
しかし、『FFX歌舞伎』を昼夜通し9時間(上演は正味7時間)かけて観劇したいま、私は不明を恥じています。いますぐ観たほうがいい。
『FFX』に対する尾上菊之助の愛情とリスペクトが出発点となっていることもあり、原作ゲームのファンであれば、期待を裏切られることはないでしょう。私の前方の若者は、劇中、何度か涙をぬぐっていました。
では、原作に思い入れはないが、「新作歌舞伎」として、あるいは「未知のエンターテインメント」としての『FFX歌舞伎』はどうでしょう? 私は買いだと思います。
その見所を、大きく5つにまとめてみます。
まもなく閉幕!FFX歌舞伎 見どころダイジェスト
https://youtu.be/2QO1gVsxRjQ