口論や衝突は「もう見慣れました」
新歓合宿がフィジカル面のイニシエーションなら、メンタル面のイニシエーションが入部式だ。
これも代々続く伝統行事で、「自分にとって探検とは何なのか」ということを新入生が5分ほどで発表。
すると上級生からその数倍の時間にわたって「罵詈雑言のような批評を浴びせられた」と言うのは田口さんだ。
「僕が『探検が人類の進歩につながるんだ!』みたいなことを言ったら、『お前みたいな進歩主義者が嫌いだ!』って(笑)。
そこまで言われたのは初めてだったので、衝撃を受けました。考えたことや思ったことを直球でぶつけるのは探検部員に共通する特徴です」
直球コミュニケーションが過ぎるとけんかになりそうなものだが、と尋ねてみると「わりとなってますね」とあっさり。
けんかと和解が日常茶飯事になっているらしい。富田さんいわく、「先輩と話してたら、いつの間にか先輩がキレてる……みたいな。そういう光景は見慣れました」。
実は、ナカタン氷河遠征の報告会で上映されたムービーでも、衝突の瞬間がとらえられていた。遠征中に、久保田さんが田口さんに突如、殴りかかったのだ。
遠征の後半、不満が積もり積もった結果だったと久保田さんは振り返る。
「こっちは怒ってるのに、『あはは』と笑いながら動画撮ってるんですよ、田口さん。『何だ、この人』って思っちゃいました(笑)」
田口さんは「感情コントロールができてないなぁ、みたいな感じで面白かった」と笑う。久保田さんも「そういうコミュニケーションに慣れちゃってて」とまるで気に留めていない。
これが探検部独特の関係性なのだろうか。