新歓合宿は「富士の樹海」、入部式で「お前がキライだ!」、ヒマラヤで怒りの殴打…“絶対に入らないほうがいい”早稲田大学探検部を潜入調査_4
ナカタン氷河遠征にて
新歓合宿は「富士の樹海」、入部式で「お前がキライだ!」、ヒマラヤで怒りの殴打…“絶対に入らないほうがいい”早稲田大学探検部を潜入調査_5

コンプラ的に全部アウト?

女性部員の久保田さんは、探検部員だった姉から話を聞いているうちに、興味を持ったという。

「姉からは『変な奴しかいない』『虫が入った飯を出されてびっくりした』みたいな話を聞かされていました。

一般的にはいい話じゃないと思うんですけど、私は興味を持っちゃって。姉の同期が、ロシアの未踏峰に『ワセダ山』って名前をつけて『クレイジージャーニー』にも出てたんですよ。それで、うわーすごい!って」

久保田さんはそう振り返って笑う。

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一方、富田さんの入部理由はこうだ。

「僕は高野秀行さんの本を読んだらミャンマーに行きたくなってしまって、大学でミャンマーの勉強をしています。

探検もしたいと思っていたのですが、阪大には自分がのめり込めるような部活がなくて。ふと、このままじゃだめだと思い立って、早稲田探検部の新歓に飛び入り参加しました。

そのときは『近いんだから京大の探検部に行けよ』って言われたりしましたが(笑)」

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入部エピソードだけでも探検部の独特なムードが伝わってきた。しかし、まだ序の口。入部後には、もっと強烈な“イニシエーション(通過儀礼)”が待ち受けている。

普段、それぞれのプロジェクトごとに活動している探検部にとって数少ない合同行事「新歓合宿」と「入部式」である。

新歓合宿は、火器も電子機器もテントも使用禁止。地図とコンパスだけを頼りに山の中でサバイバルオリエンテーリングを行うというもの。去年、新歓合宿に参加した富田さんはこう振り返る。

「山の中で目印になるものがないと、自分がどこにいるかもわからないっていうのが衝撃でした。

でも、自分でどうにかしないといけないっていうのは、その後の探検部での活動に活きてくる……みたいな目的があるんですよね?(笑)」

後輩の問いに田口さんが「もちろん」とうなずく。探検で起こりうるつらさを擬似的に体験できる重要な行事なのだという。

「荷物ごと海の中を泳いで、びしょ濡れのまま山に入ったりだとか、暴風雨の中で歩いたりとかするので。

でも、新歓合宿での体験があまりにも強烈すぎて、逆にそれが楽しくなって入部しちゃうっていうやつもいますよ」

過去には新歓合宿が富士の樹海で行われたこともあるそうで、「コンプラ的に全部アウトだから何を話していいのかわかんない(笑)」と久保田さんは語る。

それでもそこは探検部員の妹、「面白かった」と入部を決めた。