「わかったつもり」の意表を突く探検

今や「グーグル・アース」で地球のどこでも見られる、とはいうものの、やはりインターネットの情報と現地のリアルは違う。

ナカタン氷河遠征でも、ネットで下調べをしていたルートが使えない、という見込み違いがあったという。

「グーグル・アースではのっぺりとして進めそうだなと思っていたところが、けっこう切り立っていて。反対に崖っぽく見えていたところが行きやすいこともあった。

些細なことですけど、現地に行ってみないとわからないものっていうのは確かにあって、その意味で未知というか探検すべきフィールドはまだ残ってるなと。

ネットで多くのことが知れるようになった反面、その奥に隠れた面白いものが見えにくくなった時代でもありますよね。逆に言えば、そこがモチベーションかもしれない。

グーグル・アースで全部見られるし、実際に行っても意味ないよって思ってる人たちに、わかったつもりだったかもしんないけど、本当はこんな面白いものがあるんだぞと見せつけてやりたい、というか」(田口さん)

今や「グーグル・アース」で地球のどこでも見られる、とは言うものの、やはりインターネットの情報と現地のリアルは違う。  ナカタン氷河遠征でも、ネットで下調べをしていたルートが使えない、という見込み違いがあったという。  「グーグル・アースではのっぺりとして進めそうだなと思っていたところが、けっこう切り立っていて。反対に崖っぽく見えていたところが行きやすいこともあった。  些細なことですけど、現地に行ってみないとわからないものっていうのは確かにあって、その意味で未知というか探検すべきフィールドはまだ残ってるなと。  ネットで多くのことが知れるようになった反面、その奥に隠れた面白いものが見えにくくなった時代でもありますよね。逆に言えば、そこがモチベーションかもしれない。  グーグル・アースで全部見られるし、実際に行っても意味ないよって思ってる人たちに、わかったつもりだったかもしんないけど、本当はこんな面白いものがあるんだぞと見せつけてやりたい、というか」(田口さん)_13
ナカタン氷河遠征にて
新歓合宿は「富士の樹海」、入部式で「お前がキライだ!」、ヒマラヤで怒りの殴打…“絶対に入らないほうがいい”早稲田大学探検部を潜入調査_14

ナカタン氷河遠征の目的は、現地で基礎的な氷河データ収集するという学術調査だ。

“未知動物探しの早稲田”にしては、珍しく真面目なテーマのように思えるが、田口さんは入部当初から「価値のある探検、調査ができたらいい」と考えていた。富田さんも同意する。

「探検部の中で、学術探検への意識が高まっていて、こういうことを調べる価値があるから行く、みたいな。

僕も、せっかく大学の探検部に所属しているからには、教授の目を見開かせるような探検で、一発かましてやりたいみたいな思いはありますね」

挑発的な言葉に似合わない、はにかむような笑顔が眩しい。

思わず、「私も探検部に入りたかったなぁ」と筆者が言うと、すかさず「絶対にやめておいたほうがいいですよ」と止められた。

中編では、早稲田探検部の生態をさらに詳しく知るべく、部室から探検部行きつけの居酒屋に場所を移し、話を聞いていく。

中編はこちら>>

新歓合宿は「富士の樹海」、入部式で「お前がキライだ!」、ヒマラヤで怒りの殴打…“絶対に入らないほうがいい”早稲田大学探検部を潜入調査_15
すべての画像を見る

取材・文/寺井麻衣
撮影(インタビュー)/岡庭璃子
写真提供(ヒマラヤ遠征)/土肥拓海(早稲田大学探検部)
編集/一ノ瀬 伸