オリックス・投手陣の高速化が止まらない
昨年の日本シリーズでは、オリックス救援陣の「球速」が話題となった。山﨑颯一郎、本田仁海、宇田川優希といった最速150キロ台後半~160キロを誇る20代前半の若手投手がズラリと並ぶ投手陣は、間違いなく球団26年ぶりの日本一に大きく貢献した。
近年の野球界ではボールの軌道や回転軸、回転数など、あらゆるファクターが数値化、データ化されるようになった。そこに最新のトレーニング理論が融合されたことで、投手の球速は飛躍的に向上している。先のWBCでも日本投手陣の平均球速は参加国中2位をマークし、決勝戦に登板した7投手全員が150キロ以上をマークした。
10年前なら、考えられなかったことだ。そして、その「投手の高速化」を12球団でもっとも体現しているのが、ほかならぬオリックスだ。
山﨑颯、宇田川といった体格的に恵まれた投手はもちろん、宮城、本田のように決してプロでは大柄とは言えない投手も、入団後に球速を飛躍的に向上させている。筆者は本田の高校3年夏の投球を球場で見ているが、当時の最速は140キロ台後半で、平均は140キロ代前半。
すでに「プロ注目」の好素材ではあったが、どちらかと言えばボールのキレや変化球との組み合わせで打者を抑えるタイプ。まさか数年後にプロで158キロを投げることになるとは、申し訳ないが想像できなかった。
そこにきての、山下の躍進だ。2020年のドラフト当時、そのスケール感は高く評価されていたものの、「ドラフト候補」としては珍しく球種はストレートとカーブのふたつのみ。189センチの長身と最速153キロのストレートは確かにロマンを感じさせるものだったが、典型的な「素材型」の選手だったのは間違いない。