キムタクの地力は健在、福山はドラマ枠が強み

さて、では今回は実際にどちらのドラマに軍配が上がりそうかと言えば、筆者の目からはキムタク優勢に見えている。

先述したようにキムタクは前作で一桁視聴率を記録してしまっているが、逆に言えば近年も1、2年に1本は必ず連ドラ主演しているにもかかわらず、二桁視聴率を死守してきたという、とてつもない実績があるわけだ。他の主演俳優たちが早々に視聴率一桁の辛酸を舐めていたなか、昨年まで二桁視聴率で飛び続けていた地力は健在だろう。

しかも今回の『風間公親-教場0-』は、2020年と2021年の正月にスペシャルドラマで放送された『教場』シリーズの前日譚なのだが、シリーズ1作目は15%台、2作目は13%台という高視聴率を獲得した作品なのである。

とはいえ懸念点もある。月9のブランド力が低下していることだ。

月9作品で全話平均の視聴率が二桁を超えたのは、昨年1月期の『ミステリと言う勿れ』までさかのぼることになり、それ以降は4作品連続で一桁台に陥落している。

フジテレビとしてはこの悪い流れから立て直すため、視聴率男であるキムタクに頼ったのだろうが、果たして……。

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逆に福山側のアドバンテージは日曜劇場のブランド力。

日曜劇場枠で一昨年に放送された4作品は、全話の世帯平均視聴率が13~15%と軒並みヒットしており、昨年も4作品中3作品が全話平均で二桁を記録しているからだ。

だが昨年10月期の『アトムの童』、今年1月期の『Get Ready!』が2作連続で全話平均9%台となっており、ブランド力が急落していると見る向きもあり、そこまで大きなストロングポイントにはならないかもしれない。

そのうえ、日曜劇場は7月期に放送される『VIVANT(ヴィヴァン)』の情報をすでに解禁済。『半沢直樹』主演の堺雅人が主役を務め、『下町ロケット』主演の阿部寛と『陸王』主演の役所広司が脇を固めるという、“日曜劇場版アベンジャーズ”といった顔ぶれの超豪華仕立てとなっている。

多くの日曜劇場ファンの期待はもう『VIVANT』へ注がれているため、『ラストマン-全盲の捜査官-』が前座のような空気感さえ漂ってしまっているのだ。

――キムタクと福山の役者としての求心力、今回の作品の求心力、ドラマ枠の求心力などの要素を総合的に踏まえると、筆者はキムタクが俄然有利だと考えている。