夜行列車の通路に座って夜を明かした青春時代
ここからは駅舎マニアの西崎さんに、これまでの活動を聞いた。
──駅舎巡りを始めた高校生のころは、どのあたりを巡っていたのですか?
「自宅のある岡山周辺の駅舎から回りました。岡山県の宇野駅は当時、四国高松への連絡駅として多くの乗り換え客でにぎわっていました。寝台特急の瀬戸が停まっていたりしていたのが印象的で面白かったですね」
──当時は寝台列車を見ながら、「ここからいろんな所へ行くんだなぁ」と想像を膨らませていたのですね。
「寝台特急は憧れで、いつか乗ってみたいと眺めていました。その後、高校2年の夏休みに初めて寝台列車に乗ったときは感激もひとしおでした」
――普通列車自由席が1日乗り放題となる「青春18きっぷ」が登場(1983年)すると早速、旅に出られたとか。
「山陰と九州を結ぶ、夜行の急行さんべで博多に行きました。旅の間は列車内で夜を明かしていました。あの頃はどの列車も混んでいたので、だいぶ前から並んで、改札が開いたらいちもくさんに駆けだして席を取りにいってましたね。争奪戦に敗れると通路に座ったりして一晩過ごしたり」
──長らく駅舎巡りをされる中で、特に大変な思いをされたことは?
「道に迷うことですね。時間があるからと隣の駅まで歩いていった挙句、乗り遅れることもたまにありました。昔は地図を買って見ながら巡っていましたが、それでも間違うことはあって。今はスマホのナビがあるのでそんなこともなくなりましたけど」