自分をタレントだとは思ってなかった

――環境が変わられたこともあると思うんですが、電気グルーヴの活動と同じように、瀧さんのソロの活動はよりソリッドになったのかなと。以前はいわゆる「タレント」といわれるような活動も多かったわけですけど、YouTubeやこのコンテンツを掲載しているnoteだったり、今のテレビなどのメジャーなメディア以外での活動に関する手応えや自由度については、どう感じていますか?

テレビに出たりラジオをやったりCMに出たり、そういう部分のことをおっしゃってるんだと思いますけど、それももちろん楽しんで、仕事という概念半分、「行ってみてから考える」っていう概念半分でやってきたんですよね。

そういう活動をする人を「タレントさん」とくくるほうが便宜上いいこともあるし、包み紙としてもわかりやすいからそうなりますけど、自分のことをタレントだとは思ってなくて。

だから、葛飾区の水門を見て「へえー」って言ってるのと、CMの撮影現場に行って「へえー」って言ってるのは、感覚的にはほぼ一緒です。相手方のオーダーが入るかどうかの違いがあるだけで、気分的には全然、変わらないですね。

すべての肩書がとれたピエール瀧が大切にする表現者としてのマナー。「ムダにするのは、時間かお金かのどっちかですね。両方はやりすぎです」_2

――なるほど。取り組む姿勢というかスタンスとしては同じわけですね。

そのつもりでいますね。でも、今やっているユアレコ(YouTubeチャンネル「ピエール瀧 YOUR RECOMMENDATIONS」)も、この「23区23時」も電気グルーヴの活動もそうですけど、自分たちで考えた企画に応えてくれるスタッフがいて、フットワーク軽くできている状況があって。誤解なく伝えることができるっていうのはあるかと思います。誤解って、決して悪いことでもないんですけどね。

今までいろいろなところで、僕の肩書が「ピエール瀧(俳優)」とか「ピエール瀧(タレント)」ってなっていることが多くて。ミュージシャンって書かれることはあまりないんですけど(笑)。

そういう僕をカテゴライズするものが全部とれたので、その上で、やれることをやるしかないっていうか。幸い、いろんなことを持ちかけると「やりましょう」って言ってやってくれる人が周りにいるので、その間は、今みたいにやっていこうかなと思っていますね。