#1 有村架純の孤独との付き合い方はこちら

ちひろさんは、私とは遠いところにいる女性

「ピンクが好きそう」「いつもワンピースを着ていそう」…典型的な女性像に当てはめられやすい有村架純。「だからといって本当は違うんです、という必要もないのかな、と(笑)」_1
©2023 Asmik Ace, Inc. ©安田弘之(秋田書店)2014
すべての画像を見る

──映画『ちひろさん』で、有村さんは元風俗嬢のちひろさんを演じています。ちひろさんという女性の解釈と、どのような準備をして撮影に臨まれたかを教えてください。

原作漫画と脚本を読んだとき、ちひろさんは自分とは違う、ずっと遠いところにいるキャラクターだと感じました。パッツン前髪で、長い黒髪がよく似合って、佇まいからも香りを感じるような妖艶なイメージ。喋り方、声など、一度お話しすると、忘れられないような……。

そういうちひろさんの魅力は、自分が今まで生きてきた人生とは違うし、その雰囲気を出していくのは、かなり難易度が高い役だと思いました。

だから私にできることは、いつもより声のトーンを低くして、早口で喋らないようにするとか、声色から感じられる感情や温度感が、ある一定のところから外れないようにするとか、そういうところに気をつけて演じました。

──ちひろさんが以前働いていた風俗の世界は、色眼鏡で見られてしまうことも多い仕事ではないかと思います。同じように俳優の仕事も華やかなイメージで捉えられがちですが、有村さんはご自身がそのようにイメージ先行で見られてしまい、ギャップを感じたことはありますか?

そうですね……よく言われるのは「ピンクが好きそう」とか「いつもワンピース着てそう」とか「丁寧な暮らしをしていそう」とか(笑)。私はそういう典型的な女性像が当てはまりやすいタイプのようです。一緒にお仕事した方に言われることもありますし。でも実際は全然そんなことはなくて、友達からは「さっぱりしているよね」と言われることが多いです。

でも、だからと言って「本当は違うんですよ」と言う必要もないのかなと思います。役でイメージは変えることができるので。俳優として役に出会って、それをみなさんに届けることで、私の印象は大きく変わっていける。だから、自分と自分のイメージとのギャップを埋めなくちゃということはないですね。

──有村さんは人との距離の取り方同様に、役とも上手に対峙している印象があります。有村さん自身、このお仕事に向いていると感じていますか? 

俳優に向いているのかな……自分ではわからないのですが(笑)、俳優の仕事はセリフがあって、あらかじめ喋ることが用意されている中で表現するじゃないですか。自分が言ったことのない言葉や言い回しを使うことができるので、そういうのは楽しいです。私は普段、言葉数があまり多くなく、お芝居でしかペラペラ喋らないので(笑)。

自分が普段、おしゃべりじゃない分、役を通してたくさんお話ししているみたいです。そういうところが私の性格には向いているのかもしれません。お芝居でおしゃべりをして、自分の中の感情を揺り動かし、発散している感じがします。