若きアラン・ドロンにイーストウッドの出世作、坂本龍一がアカデミー賞を受賞した傑作にナチスドイツ時代の悲劇まで。映画史に燦然と煌めくイタリアの名画10選_3
Album/アフロ

『荒野の用心棒』(1964)Per un pugno di dallari
上映時間:1時間40分/イタリア=スペイン=西ドイツ
監督:セルジオ・レオーネ
出演:クリント・イーストウッド、ジャン・マリア・ヴォロンテ、マリアンネ・コッホ

アメリカで生まれた西部劇をイタリアに移し替えたのがマカロニ・ウェスタン(欧米では主にスパゲッティ・ウェスタン)だが、この映画はその潮流を決定的にした最初の作品。

クリント・イーストウッドが始めて名を挙げた作品で、彼は後に監督としても活躍する。高らかに鳴り響く音楽を作ったエンニオ・モリコーネとはこの作品から組み始め、以後盟友となる。黒澤明の『用心棒』とそっくりの構成で裁判にもなった。


『木靴の樹』(1978)L’albero degli zoccholi 
上映時間:3時間6分/イタリア=フランス
監督:エルマンノ・オルミ

19世紀末の北イタリア、ベルガモの四軒の小作農家で貧しいながらも気高く生きる農民たちを描いてカンヌで最高賞を受賞。

演じたのはすべて素人の農民でオール・ロケ、自然光のみというネオレアリズモを究極まで追求した作品。60年代から活躍していたオルミ監督の最初の日本公開作で、「キネマ旬報ベスト・テン」2位。


『サン★ロレンツォの夜』(1982)La notte di San Lorenzo 
上映時間:1時間45分/イタリア
監督:パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ

第二次世界大戦末期のトスカーナ地方で、ドイツ軍やそれに協力するイタリア人ファシストたちから逃げ惑う村人たちの姿を克明に描く。

6歳の少女のナレーションで進み、彼女が見た悲惨な世界が幻想的な表現と共に語られるタヴィアーニ兄弟得意のマジック・リアリズム作品。カンヌで審査員特別賞。