『無防備都市』『自転車泥棒』『道』『8 1/2』『情事』『山猫』『荒野の用心棒』『木靴の樹』『ニュー・シネマ・パラダイス』『ライフ・イズ・ビューティフル』『君の名前で僕を呼んで』……など、映画好きなら一度は聞いたことのある名作が数多くあり、日本でも絶大な人気を誇るイタリア映画。
2月17日に公開されたティモシー・シャラメ主演の話題作『ボーンズ アンド オール』も、イタリア人のルカ・グァダニーノ監督作品である。
2月17日に刊行された書籍『永遠の映画大国 イタリア名画120年史』では19世紀から現代までの120年を、約800の作品とともに通覧。イタリア映画の歴史を紐解く1冊となっている。
本記事では、「イタリアの風土を味わう映画10選」と題し、シチリア、ローマ、ナポリ、トリノ、フィレンツェなどイタリア各地方の自然や街並みを味わえる作品を紹介する。
19世紀後半にようやく国として統一されたイタリアは、南からシチリア、ナポリ、ローマ、フィレンツェと地方によって景色が大きく異なるのだ。
地域ごとの風土の違いを楽しめる映画を鑑賞して、旅行気分を味わってみては。
イタリアの風土を味わう映画10選
『アッスンタ・スピーナ』(1915)Assunta Spina
上映時間:1時間14分/イタリア
監督:グスターヴォ・セレーナ
共同監督・主演:フランチェスカ・ベルティーニ
イタリア女優の魅力を最大限に引き出した「ディーヴァ映画」は世界中で人気となったが、この映画のフランチェスカ・ベルティーニは三大ディーヴァ女優の一人。
この映画では悲劇の主人公を演じるが、ナポリの港の光景や下町でロケ撮影されており、ネオレアリズモの先駆的作品とされている。当時日本でも公開されたが、原語タイトルで検索すれば英語字幕付きの作品がDVD等で視聴可能。
『戦火のかなた』(1946)Paisà
上映時間:2時間14分/イタリア
監督:ロベルト・ロッセリーニ
前年の『無防備都市』と48年の『ドイツ零年』と合わせてロッセリーニの「戦争三部作」をなす1本。
43年の連合軍のシチリア上陸に始まって、解放直後のナポリとローマ、フィレンツェでの市街戦、エミリア=ロマーニャ地方の修道院のアメリカの従軍牧師、ポー川のパルティザンのドイツ軍との戦いと、南から北までの戦争で荒廃したイタリア各地の現実を見せるネオレアリズモの代表作。
『揺れる大地』(1948)La terra trema
上映時間:2時間20分/イタリア
監督:ルキーノ・ヴィスコンティ
シチリア島の漁村、アーチ・トレッツアで撮影し、そこの漁民たちがシチリア語で演じた作品で、監督本人の標準語のナレーションが入る。
あくどい仲買人から独立しようとしてもがく漁師一家を描いているが、漁のシーンや仲間同士の争いをアップとロングを繰り返しながら周囲の風景やさまざまな音や声と共に描く演出は、壮大なオペラを見ているような気分になる。