東京へのアクセスの利便性は考えなかった

「都会で孤立する不安からの“逃げ”たんです」女フリーランス・バツイチ・子なし。42歳からのシングル移住(東京→鹿児島)で手にした幸せ_3
鹿児島県霧島市

――なるほど。とはいえ、鹿児島は遠すぎませんか? 東京周辺にも電車で1時間ほど移動すれば、田舎っぽい地域―いわゆる「トカイナカ」はたくさんあります。

最初はそれも考えていたのですが、共同体が今も生きていて豊かな暮らしが送れるところ。大好きな温泉を毎日楽しめるところ。この2点を満たす移住先を探したら、霧島市に行き着いてしまったんです。

霧島は自治会など、昔からのつながりが今も残っていて、温泉も豊富。とくに私の好みの硫黄泉がふんだんに湧いていて、お湯が100%かけ流しの温泉という銭湯があちこちにあるんです。あと鹿児島市は祖母の出身地で、現地には親族もいます。祖母を通して多少の地縁があったことも霧島を選んだ決め手のひとつでした。

――霧島での暮らしはどのようなものなのでしょう?

仕事そのものは東京が中心なので、月に1週間ほど上京して撮影や取材をこなし、残りの3週間は霧島で執筆という暮らしです。

移住したとはいえ、月に1度は東京~霧島間を往復するのでその費用が大変だろうとよく聞かれるのですが、東京での寝泊まりは実兄の家だし、飛行機代もLCCの早割を利用すれば、空港での駐車料金を含めても3万円ほどで往復できるので、頑張ればなんとかなるのかなと思いました。

霧島市の中心部から少し離れたのどかな地域にある古家を格安で購入し、少しずつリフォームしながら、田舎暮らしを楽しんでいます。将来は東京での仕事をギュッと凝縮させて、霧島で過ごす時間をもっと増やしたいですね。

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――移住の手ごたえを教えてください。

それはもう、東京での暮らしより断然豊かです。何より、毎日温泉三昧ですから(笑)。交通の便や買い物先など、東京での暮らしに比べると不便な部分はありますが、それでも生活の質は東京時代より格段に上がったと感じています。

――期待していた地域での人と人とのつながりは持てましたか? 地方には排他的なところもあって、移住したもののよそ者扱いされて地域に溶け込めず、失望したというケースは少なくありません。

霧島は大丈夫でした。東京よりずっと人口が少ない分、人々がお互いに助け合って生きているように感じます。コロナの影響で今はあまりないのですが、自治会の活動もあって、移住早々、神社の清掃のお手伝いがありました。各家に広報用のスピーカーが設置されていて、「〇月〇日に神社を清掃します」と行事予定などが知らされます。

それで恐る恐るほうきを片手に初参加してみたら、皆さんが声をかけてくれて。とくにおばちゃんたちは本当に親切で、少しずつ知り合いが増えていきました。

私の存在が認知されるまでしばらく時間がかかると覚悟していたんですが、思ったよりも早く繋がりができて嬉しかったです。人がたくさんいても一人ひとりが孤立しがちな東京では、子どもがいない状況でご近所づきあいが広がっていくことはあまりないと思います。