2013年から0〜5歳までの保育料は所得に関係なく無償

なぜ、日本より出生率がはるかに下回る韓国と同じ道をたどるのか。岸田総理の「異次元の少子化対策」を不安視する理由_2

では、韓国の少子化対策として行われている政策を見てみましょう。まず保育料ですが、2013年3月から所得に関係なく0〜5歳までの保育料は無償となっています。さらに保育園に預けない家庭に対しても補助金を支給しています。(※2022「一般社団法人 平和政策研究所」調べ)

この保育料無償化の意外な結果として、各家庭の教育費支出は倍増しました。理由は、浮いたお金は結局習い事などに回り、家庭の教育費は負担減どころか負担増となったのです。

これは少し考えればシンプルなことです。教育が生み出す人的資本の上乗せとは相対的なものです。周りより優れているから良い大学に入り、より多くの所得を得ることになります。子供は放っておいても育つのは事実ですが、放っておいても多くの所得を稼げるようになるわけではありません。

教育熱心な都市部の人は、自身の経験からそれを理解しているからこそ、子供に対する教育費をたくさん使うのです。つまり所得制限を撤廃し、どの家庭にも給付が行われたとしても多くの家庭がその浮いた資金を教育に使う限り、終わりがありません。

事実、東京の出生率は全国平均より低く、韓国もソウルの出生率は全国平均より低い状態となっています。都市部の場合、浮いたお金は2人目の子供のためではなく、1人目の子供の教育費になる可能性が高いと思われます。