家庭用編み機を用いて製作を続けている編み物☆堀ノ内さん。およそニットには似つかわしくないと思われる図案を精緻に編み込み、そのインパクトがファンを惹きつけている。
シンガーソングライターの岡村靖幸のツアーグッズも担当し、ナマ肉を全面にデザインした「肉ニットバッグ」や未解決事件の手配写真をモチーフにした「三億円ニットバッグ」などでも話題を集めた。
現在は個人からオーダーを受ける受注会を定期的に開催し、オーダーメイドの“肖像編み物”を中心に制作している堀ノ内さんの作業場を訪ねた。
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きっかけは妻に言われた「暇ならバイトすれば?」
――現在の活動状況は?
編み物☆堀ノ内(以下、同) 最近はオーダーメイドが中心です。ありがたいことに受注会3回分のご注文がたまっていて、休みがありません(笑)。
――受注品の制作にはどれくらいの期間がかかるんですか?
1着1週間ほどです。それくらいの期間で編まないと仕事にならないですね。編み機を使用して編んでますが、最後の糸始末は手作業なのでそれが大変で。大学生の娘にも手伝ってもらったり。最近は忙しいみたいでやってくれないのですが……(笑)。
――どのような流れで製作しているんですか?
ドット絵のような設計図をパソコン上で制作してから編んでいきます。始めた頃は手編みだったので1着1カ月くらいかかっていました。
――ニット製作を始めた経緯は?
もともとはグラフィックデザイナーなんです。作業している場所は、学生時代の友人だったグラフィックデザイナーと3人で借りている事務所。もう入居して20年くらいなんですよ。
編み物は最初から仕事にするつもりで始めました。グラフィックデザインの仕事の空き時間が生まれてきてしまって、奥さんにも「暇ならバイトすれば?」なんて言われていて(笑)。
何をしようかと考えたときに思い出したのが、橋本治さんの編み物だったんです。