「裏垢に救われた」

裏垢を始めるきっかけは人によってさまざまだが、あぐさんが裏垢女子を始めたのは「セックスレス」の辛さを発散するために、Twitterアカウントを開設したのがきっかけだったという。

「もともと結婚していたのですが夫とはずっとセックスレスでした。この辛さをなんとか解消したい、私と同じ境遇の女友達を作りたいと思っていました。そんなとき、ある有名裏垢男子のツイートがわたしのTwitterに流れてきて『裏垢という世界があるんだ!』ということを知りました」

フォロワー12.7万人の裏垢女子インフルエンサーに聞く“裏垢女子”の生態系。裏垢界を楽しむために必要な条件とは?_2
写真はイメージ

あぐさんはセックスレスの悩みを打ち明けたいという一心で裏垢をはじめた。しかし普通にツイートを投稿するだけではフォロワー数やRTは伸びないし、目的のおなじ境遇の人と繋がれない。そこで、自身が経験したセックスのエピソードを面白おかしくまとめて投稿することにしたという。

「裏垢を始めた2019年ごろの裏垢界は、現在より文章主体のアカウントも多かったため、同じように投稿を始めました。すると次第にフォロワーが伸びていきました。当時の私は既婚者で顔や体の写真を投稿できなかったため、自分にとっては文章がピッタリでした」

あぐさんのように裏垢女子のなかには、セックスレスや性に関する悩みを共有するために裏垢を始めた人も少なくない。夫の愚痴や理想のセックスについての願望を話したり、写真を載せて女性としての自信を取り戻すなど、人によって使い方はさまざまだ。そして、時には裏垢で男性と知り合ってセックスをしている人もいるのだとか。

「人妻の裏垢女子のなかには『不倫ではなく"外注"。気持ちは浮ついていません!』と言って婚外セックスしている人もいます(笑)。わたしも彼女たちのように"外注"で発散しようと思ったのですが、罪悪感に苛まれ、思うようには楽しめませんでした」

あぐさんは悩み抜いた末に離婚をして、現在は遠慮なくセックスを楽しめる状態になっている。

しかし、ほとんどの人にとってパートナーとのセックスレスを相談したり、また性欲を解消できる場所や機会は少ないのが現状だ。

裏垢は既婚者女性をはじめさまざまな悩みを抱える女性たちが集い、性についての気持ちを共有できるコミュニケーションツールとしての側面もある。

「私も本当に辛い思いをしてきましたが、裏垢で同じ思いや悩みを持つ人とつながることができて心から救われました。セックスレスの悩みはリアルの友人や家族など、近い人にはなかなか相談できません。だからこそオンラインで見ず知らずの人たちと悩みを共有できることが、わたしにとって大きな救いでした」