潤っているのは誰か

東京証券取引所のプライム市場(旧東証一部)に上場している、取引が活発な225銘柄を日本経済新聞社が選定して算出した平均株価を指す“日経平均株価”。

日経平均株価の上昇によって投資家以外では誰が潤っているのか。

「まず、上場企業に勤務する人たちが挙げられます。株価上昇は企業の業績が好調であることを意味しており、増益したぶんは従業員に還元されやすい。実際、経団連が昨年末に発表した大手企業の2023年冬のボーナスの平均額は90万6413円(前年比1.37%増)と2年連続の増加を記録しました。日経平均株価で算出されている企業は大手企業が多く、ボーナスが増加していることを鑑みると、大手企業の従業員は潤っているといえます」

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首都圏と地方の格差は開くばかり

しかし、日本企業の9割は中小企業。株価が高水準を記録していたところで、多くの国民にはあまり関係ない話かもしれない。

「上場企業を含む大企業やそれなりの規模の中小企業は景気がいいと思います。裏を返せば、それ以外の中小企業は厳しいです。とりわけ地方の企業では顕著です。私が住む佐渡市などのように零細企業が中心の地方では、企業や店舗の倒産や撤退は少なくありません。

それに伴って若者の人口流出も相まって、経済が急激に縮小していることを実感しています。東京で働く知人に先日、東京の経済状況を聞いたところ『悪くないどころか好調だ』といっていました。業績のいい大企業が集中している東京と地方の格差は深刻なレベルで広がっています」

ちなみに現在の株価上昇の背景として、広瀬氏は以下のように解説する。

「まず2024年1月から新NISAが開始され、株式投資に対する機運が高まったことが大きい。また、コロナ禍による金余りも挙げられます。日本ではコロナ禍に一律給付金として10万が1回配られるだけ、というとても小規模な支援策が実施されました。ただ、海外ではそれを超える金額のコロナ支援金などが実施され、富裕層を中心に金余りが起きた結果、株式市場に大量の資金が流入したことの影響も無視できません」