モーニングは名古屋人ががめついから広まった!?

モーニングやおつまみなどのおまけサービスが浸透している理由についても、こんな風にいわれることが少なくありません。
「名古屋人はがめついもんで、おまけでもつけんと満足せんのだわ」

ようするに、お客にとってお得なおまけサービスは、お客が求めるために店側は渋々やらざるを得ないというのです。

しかし、これも元をただせば茶の湯の精神がある、と筆者は考えます茶の湯を源流とするいっぷくの文化が、多くの市民が喫茶店を必要とした理由でもありました。

同時に、店を開く店主の側にも茶の湯を背景とするおもてなしの心が息づいていました。
来てくれるお客さんに満足してもらいたい、そんな思いがあるからこそ、モーニングサービスやピーナッツなどのおまけサービスも、自然と広まったのではないでしょうか。決してお客さんが求めるからしかたなく……ではないのです。

名古屋の飲食店は何かと〝やりすぎ〞〝サービス過剰〞といわれますが、それもこれも全部、根っこに茶の湯の精神があるのです(! ?)。
そもそも「名古屋人がケチだから……」という風評にも誤解があります(倹約志向で実利主義、という面が強いことは否定しませんが……)。

名古屋の喫茶店支出額は毎年の調査で必ず全国平均を大きく上回り、全国トップクラスを誇っています。

喫茶店でコーヒーを飲む、という行為は〝いい意味での時間とお金の無駄遣い〞。喫茶店でのいっぷくをこよなく愛する名古屋人は、ケチどころかとても贅沢な時間とお金の使い方をしているといえるのではないでしょうか。

決しておまけサービスを強要するようなさもしい気持ちで喫茶店に足繁く通っているわけではないのです。

『間違いだらけの名古屋めし』(KKベストセラーズ)
大竹敏之
「喫茶店が多いのは名古屋の企業がケチだから!?」「豪華なモーニングは名古屋人ががめついから広まった!?」名古屋の喫茶文化を探る_2
2023年1月24日
1,870円
単行本  : ‎ 312ページ
ISBN:978-4584139875
ご当地グルメの代表格として今や全国にも知られる「名古屋めし」。
味噌煮込みうどん、味噌カツ、ひつまぶし、手羽先など、これらを食べることを目的に名古屋を訪れる観光客も多く、人気店には長蛇の列が。今や名古屋きっての観光資源にもなっている。
しかし、名古屋めしにまつわる評判や定説は誤解や間違いだらけ。いわく・・・
名古屋めしは何でもかんでも味噌をかける?
名古屋めしはB級グルメばかり?
名古屋めしはどれもこれも味が濃い?
名古屋めしはパクリだらけ?
名古屋めしに関する様々な風評の数々・・・これらは果たして真実なのか?
名古屋めし取材30年の実績を誇る現地ライターが徹底取材。間違いだらけの名古屋めしに関する誤解をすべて解いていきます!
真説・名古屋めし論!
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間違いだらけの名古屋めし#1