モーニングは名古屋人ががめついから広まった!?
モーニングやおつまみなどのおまけサービスが浸透している理由についても、こんな風にいわれることが少なくありません。
「名古屋人はがめついもんで、おまけでもつけんと満足せんのだわ」
ようするに、お客にとってお得なおまけサービスは、お客が求めるために店側は渋々やらざるを得ないというのです。
しかし、これも元をただせば茶の湯の精神がある、と筆者は考えます茶の湯を源流とするいっぷくの文化が、多くの市民が喫茶店を必要とした理由でもありました。
同時に、店を開く店主の側にも茶の湯を背景とするおもてなしの心が息づいていました。
来てくれるお客さんに満足してもらいたい、そんな思いがあるからこそ、モーニングサービスやピーナッツなどのおまけサービスも、自然と広まったのではないでしょうか。決してお客さんが求めるからしかたなく……ではないのです。
名古屋の飲食店は何かと〝やりすぎ〞〝サービス過剰〞といわれますが、それもこれも全部、根っこに茶の湯の精神があるのです(! ?)。
そもそも「名古屋人がケチだから……」という風評にも誤解があります(倹約志向で実利主義、という面が強いことは否定しませんが……)。
名古屋の喫茶店支出額は毎年の調査で必ず全国平均を大きく上回り、全国トップクラスを誇っています。
喫茶店でコーヒーを飲む、という行為は〝いい意味での時間とお金の無駄遣い〞。喫茶店でのいっぷくをこよなく愛する名古屋人は、ケチどころかとても贅沢な時間とお金の使い方をしているといえるのではないでしょうか。
決しておまけサービスを強要するようなさもしい気持ちで喫茶店に足繁く通っているわけではないのです。