セリフだけで登場するスポットまでも紹介

「まだ気づかれていない仕掛けも」圧倒的な情報量で話題沸騰となった『地球の歩き方 JOJO ジョジョの奇妙な冒険』がジョジョ好きを唸らせた理由_03
本書P50-51

『ジョジョ』では、実在する場所や建物と、作中にしか存在しないフィクションのものがあるが、本書ではそのどちらもスポットとして紹介している。
例えば、イギリスでは「大英博物館」。次に、紳士の入り込むところではない暗黒街「食屍鬼街」(オウガーストリート)が紹介される。リアルとフィクションを行き来する奇妙さが本書の魅力のひとつなのだ。
また、ストーリーとは直接関係はないが、風景として描かれていたり、セリフの中で触れられているスポットの紹介まで網羅されているのも本書の特徴だ。

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「女帝 その③」 『ジョジョの奇妙な冒険』 16巻より

「インドで紹介している『久美子の家』という宿は、絵がなくセリフだけで触れられていますが、実在するバックパッカー御用達の宿です。同じくセリフだけで触れられているジョセフ達が泊まっているホテルクラークスも実在します」

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「クラッシュとトーキング・ヘッド その⑥」 『ジョジョの奇妙な冒険』 57巻より

「ヴェネツィアだと、広場で子どもたちが遊んでいるシーンにオブジェのようなものが描かれています。これはヴェネツィアで昔使われていた井戸の跡なんですけど、こういう本筋とは関係ない箇所もなるべく拾いました。実際に旅をしたときに、『これがそうか!』という発見になって楽しいだろうなと思って、できる限り取りこぼさないように入れています」

細かすぎるともいえるスポットたちはどのように探したのだろうか。

「マンガを一から読み直して、実在していそうな場所や物はすべてピックアップしてリスト化しました。パッと見では特定できないものはGoogleストリートビューで調べたり、各国編の『地球の歩き方』制作スタッフにも協力してもらって、誌面に落とし込んでいます」

旅目線で気づかされた荒木飛呂彦先生の凄さ

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本書では、「旅」をテーマにした荒木飛呂彦先生へのインタビューも8ページ掲載されている。インタビューでは、「面白そうだな」というロマンの匂いだけで旅行先に赴き、文化に触れて、「そこを舞台にしようか」と考えるという、旅が『ジョジョ』を生み出すきっかけになっているエピソードなどが披露されている。

「旅先では、例えば草木の生え方や、柵がどう設置されているか、といった点に着目されていると伺いました。日本とアメリカでは木の生え方がちょっと違うとか。お話を伺って改めて『ジョジョ』を読み返してみると、荒木先生が各地でご覧になったものや体験されたことがふんだんに描かれていることに気づき、感動しましたね。

そういったリアリティがあるからこそ、フィクションの場所でさえ実在するのではと思わせてくれますし、何度読み返しても面白くて。旅をすればするほど『ジョジョ』のスゴ味を感じます」