50秒に1回潮吹き⁉
深い海を回遊するマッコウクジラが大阪湾、それも高速道路「湾岸線」の真下の浅瀬で潮を吹きながら泳いでいるというシュールな光景が目撃されたのは1月9日の成人の日のこと。
この体長約8メートルのマッコウクジラが確認されたのは、大阪市西淀川区の海岸沿いにある「矢倉緑地」のすぐ先の海上。バードウォッチングや釣りのスポットとしても知られている。
ただ、この日はめったなことではお目にかかれないマッコウクジラが出現したとあって、普段、バードウォッチングや釣りに興味のない野次馬が押しかけ、ちょっとした騒動に。
大阪市内の天王寺から自転車でやってきたという高校1年の男子生徒が息を弾ませて言う。
「まさか、大阪湾で野生のマッコウクジラを見られるとは。天王寺からはるばる自転車で片道1時間半かけてやってきた価値がありました!」
店を臨時休業してクジラ見物にやってきたというのは、大阪市内で飲食店を経営しているという40代男性。
「淀川河口にクジラがいるというテレビニュースを見て、居ても立っていられず、店を閉めて駆けつけました。『矢倉緑地』周辺の古墳からクジラの骨が出土したという話は聞いていたけど、まさか、この21世紀に生のクジラを拝めるとは。ええもん、見させてもらいました。ありがとさんです(笑)」
クジラ見物にやってきた野次馬たちの関心は、なぜ、マッコウクジラが大阪湾に入ってきたかということ。30代の男性会社員がこう気をもむ。
「50秒に1回潮を吹いていかにも元気のように見えるけど、その場でじっと動かないまま。これはエサを追って大阪湾に迷いこんだのではない。泳ぐ元気もないほど体力が弱り、淀川河口まで流されてきたんやと思う。心配やな」