ポイントは「速度」「正確性」「リカバリー」
タッチタイピングには、ある程度のスピードと正確さが求められる。隅野氏が企業研修などで受講者に示す指標としては、 一般的なオフィスワークで困らない水準は「平均200打鍵/分」。よりスムーズな入力には「平均300打鍵/分」程度のスピードが望ましいそうだ(文字ではなく打鍵であることに注意。文字に換算すれば半分以下になる)。
そして、入力のスピード以上に大切なのは「入力ミスをなるべくしないこと」。高い生産性を求めるのであれば、正確性95%以上でミスなくタイピングできるのが理想的だが、実務的には90%以上をクリアすることを目指すのが望ましい。
「タイピングの速度が上がってくると、入力ミスが大きな時間のロスになります。1文字のミスを修正するのには、『ミスに気付く→カーソルの移動→消去→再入力』でだいたい10文字入力する分の時間が必要です。
タッチタイピングには『スピード』と『正確性』、そしてミスを素早く修正する『リカバリー』という3つの力をバランスよく身につけることが重要なのです」
さらに、手首の角度や目線など正しいフォームで作業することによって、長時間の入力でも疲労が溜まりにくくなり、集中力も保ちやすくなる。
特に打鍵数が多くなると腱鞘炎などの痛みが生じる人もいるが、これは手首が反っていたり、逆にノートPCのようにフラットすぎて指が伸びた状態でタイピングしている場合が多いという。
「キーボード本体は軽い傾斜が付いていると、自然なフォームを保ちやすくなります。たとえば、適度な厚さと柔らかさを持ったリストレストで手首の角度が反らないように調整するといいでしょう。また、キーボードを搭載したノートPCの場合は、薄型のスタンドなどで画面の高さを上げ、外付けのキーボードを利用するのがベターです」