指示が厳しすぎるスター・ウォーズには
機転を利かして成功へ?

日本国内の版権ものだけにとどまらず、世界に打って出ることになる。そう、「スター・ウォーズ」のキャラクターの製品化だ。

「スター・ウォーズといえば、地球規模のビッグコンテンツですから、日本の一中小企業が製品化したいと言ってもすんなりと権利を下ろしてはくれません。しかしあきらめずに、『日本の造形技術でスター・ウォーズの世界観を再現したいんだ』という熱量をぶつけ続けまして。何度もアプローチした結果、ようやく心を許してくれて許諾を得られたんです。

……ただ本当の困難はここからでした。スター・ウォーズは、メディアミックス展開のガイドラインがおそろしいほど厳格で、製品化する際に細かい修正指示がいくつも届くんです。たとえば『ダース・ベイダー』のフィギュアを製品化する際は、『ベイダーはこんなポーズはしない』、『この角度が変』なんて具合に、細かい要望がかなり来て、かなり苦悩しました(笑)」

スター・ウォーズは、キャラクターにも知的財産がある「キャラクターIP」という考え方をいち早く導入したコンテンツ。キャラクターのイメージを崩さぬよう、製品化のジャッジは厳格なものだったのだろう。だがもちろん壽屋はここでも折れず、意地を見せる。

エヴァ、鬼滅のフィギュアやプラモを作る壽屋が70周年! 町のおもちゃ屋が偶然と意地で世界的ホビーメーカーになれた理由_7
©& ™ Lucasfilm Ltd.

「うちとしても、日本で作る意味をなんとか込めたかった。そこでスター・ウォーズシリーズがもともと黒澤明監督作品に強く影響を受けていることに注目しました。だから『黒澤作品の侍はこういうポーズをするんだ』という具合に“逆提案”してみたんです。

その結果、『侍の意匠を凝らしたポージングと壽屋ならではの造形技術に感動した』と好印象を抱いてくれました。このとき世界的コンテンツも認める日本的モノづくりの精神、技術が壽屋にはあると確信できましたね」