その後のアカデミー賞で主演女優賞を受賞した『めぐりあう時間たち』(2002)のインタビューでは、衝撃的な事実を語っていた。
「今回の映画を見た人たちは、私を見て、(演じた人物に)ずいぶんうまく似せているなぁと思うでしょうね。でも心の中は違ったの。まるで、地獄だったわ。子供を流産したばかりだったし、健康の面でも問題があったの。とてももろくて、自分に自信がなかった」
ロードショー2003年2月号インタビュー記事より
『めぐりあう時間たち』でニコールが演じたのは、作家のヴァージニア・ウルフ。何度も自殺未遂を繰り返し、最後は入水自殺をしたイギリスの女性作家で、つけ鼻やまぶたに人工皮膚をつけ、髪も茶色く染めて無造作に束ねられた風貌で、キラキラ輝くニコールの姿は全く見当たらない。そのおかげで快適に撮影ができたようだ。
「離婚騒動の真っただ中で、ほとんどさらし者状態だったでしょ。だから変装用の鼻をつけてパパラッチたちを煙に巻いたのよ。彼らの目の前に出て歩いても、私になんか目もくれないの。私の子供たち(トムと結婚中に養子に迎えた女の子と男の子)も気がつかなかったでしょうね」
ロードショー2003年2月号インタビュー記事より
離婚問題だけではなく、流産という耐えがたい経験を乗り越え、撮影に挑んでいたニコール。撮影終了後は仕事のペースを抑え、家族との時間を大事にした。
「トムと別れて、家族と一緒に過ごせる時間は、私にとってもっとも大切なことになったの。もちろん、結婚したままのほうがよかったわよ。でも、私の子供たちは2年近く私がひとりでいるのを見ているし、私もそのほうがいいと思っている。今は誰とも生活を共にしようとは思わない」
ロードショー2003年2月号インタビュー記事より
そう語っていたニコールが2006年にカントリー歌手のキース・アーバンと再婚し、2008年にサンデー・ローズを出産。『ライラの冒険 黄金の羅針盤』(2007)で来日した際は、「東京は何度も来ているけど、初めて妊娠した姿で来ました!」とまばゆい笑顔を見せた。
2010年には代理出産で次女のフェイス・マーガレットが誕生し、結婚から16年経った今でも映画祭やイベント、配信動画などでキースとのラブラブぶりを披露している。
ニコールの笑顔は、周りの雰囲気を温かくして和ませるパワーがある。これからもその笑顔をいっぱい見せてほしい。
文/石附信子 写真/坂田智昭
「地獄だった」離婚の直前に流産していた2002年のニコール・キッドマン。ロードショーが見たトム・クルーズとの悲しき騒動
最新作『ノースマン 導かれし復讐者』が1月20日に公開されるニコール・キッドマン。トム・クルーズとの離婚の直前に流産していたニコールが、気丈に取材に応じる当時の貴重なインタビューテキストと写真を紹介する。(サムネイル・トップ画像/『遥かなる大地へ』でトム・クルーズと来日した、まだ初々しい24歳のニコール)
スターのウワサ #2

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