20代に不人気なのは「嫉妬を楽しむ余裕がないから」
20年前からAV業界に携わり続ける唐木は都内近郊で生まれ育った。学生時代に知り合った照明技師に弟子入りし、映画やテレビなど撮影現場を数多く回った。その中でもAV業界は勢いがあり、ギャラもよく、さらに現場は若者には刺激的だった。気がつけばAVの仕事にのめり込み、カメラマン助手を経て、ADへとステップアップしていく。
「当時はAV業界も景気がよかったです。でも、かなりの激務でした」
朝早くから集まり、明け方まで撮影して、2、3時間寝て、という生活をしているうちに監督をやらせてもらえるようになった。はじめて撮ったのはドキュメンタリーモノ。カンパニー松尾に憧れて、カメラを片手に北海道のテレクラを回った。
唐木の大きな転機は、AD時代のある経験だった。
「今だったらありえないのですが、当時はおおらかな時代で、出演者と男女の仲になったんですね。その子が性にオープンで、あるとき自分の友達にフェラをしたことがあった。そこで無性に興奮してしまったんです」
次に付き合ったのは夜の店で働く女性だったが、その子がAV業界に興味を示したため、スカウト。心の奥底では、彼女が一流男優とカラんだときにどんな表情をするか気になって仕方なかった。
「初撮影の相手は“潮吹き名人”と呼ばれた男優さんでした。そのときの興奮たるや。寝取られが自分の性癖だと気がついた瞬間でした」
唐木に言わせれば、寝取られの性癖を持つ20代はほとんどいないらしい。若いうちは相手を束縛したり、依存したりと、「嫉妬を楽しむ余裕がないから」だと唐木は分析する。
「若い人にカメラを持たせると、局部ばかりを映すんですね。でも、寝取られ作品では違う。局部のアップよりも引きの画が大事。行為自体で興奮する人はこのジャンルを見ないでしょう。
どうしたら一線を越えられるか手に汗を握る。言うなれば、初体験のようなドキドキを取り戻すのが寝取られなんです」