1989年(平成元年)から消費者3000人への月例CM好感度調査を行ってきたCM総合研究所。年末には「BRAND OF THE YEAR」と題した発表会を開き、その年の銘柄別(ブランド別)CM好感度トップ10を表彰している。
No.1は多様性の時代を反映したau
2022年度(2021年11月度〜2022年10月度)は、東京キー5局で2645社、6833商品のCMが放送された。
その中で最も高い好感度を獲得したのは、KDDI「au」だった。auの首位はこれで8年連続となる。
「三太郎」「意識高すぎ!高杉くん」に加え、広瀬アリスと鈴鹿央士を起用した「povo姉」のシリーズが好感度を押し上げた。
CM総研代表の関根心太郎氏は、1位に輝いた理由をこう分析する。
「auは、毎年元日に長尺CMをオンエアして、その年の指針となるキャッチコピーを発信しています。2022年は『進め!そっちだ!』でした。『こっちだ!』とベクトルを示すのではなく、『そっちだ!』と言ったところに、auらしい素晴らしさを感じました。
2022年、社会に最も大きな変化を与えたのは、行動制限の解除ではないかと思うんです。でも今は多様性の時代で、全員が全員、一気に外へ踏み出すわけではない。いまやワクチンを打つ・打たない、マスクを外す・外さないといった決断も一人ひとりにゆだねられています。
その決断に対して、『間違ってないよ』と背中を押すようなコピーが、『進め!そっちだ!』だったのではないかと思います。このように毎年、生活者に寄り添うCM展開を行ってきたからこそ、8連覇の金字塔を打ち立てられたのではないでしょうか」(関根氏、以下同)
「キャスティングの妙」でタウンワークが2位
第2位は、リクルート「タウンワーク」。木村拓哉と芦田愛菜が撮影現場でコミカルな掛け合いを見せるシリーズだ。
「木村さんも芦田さんもそれぞれ訴求力が高く、そのふたりを組み合わせたキャスティングの妙が、一番の勝因でしょう。しかもふたりの素の表情を垣間見ることができるようなつくりで、ちょっと得した気分にもなりますよね(笑)。
実は、2022年はアルバイトや転職といった求人情報サービスのCMが積極的にオンエアされました。そんななか、速いカット割りや魚眼レンズなどを活用した印象的なカメラワークで他のCMと違う見え方にしたり、『木村、混乱してます!』といった予想外のセリフ回しをしたりして、視聴者を引きつける工夫が光っていました」