発電所の大型化や集中立地のリスク

3月の福島県沖地震では東北新幹線を走行中の「やまびこ」が宮城県で脱線しましたが、死者は出ませんでした。新幹線は早期地震検知システムによって自動的に急停止する仕組みができています。

この地震では、M7.4の本震の直前にM6.1の地震(前震)が起きていました。新幹線は前震で急ブレーキが働き、本震の揺れが来たときには停車していました。そういう幸運もあって、安全神話は守られました。

高速道路は地震翌日に東北道、翌々日に常磐道が通行止めを解除しました。ガスは大きなトラブルの報告が見当たりません。阪神・淡路大震災時と比較すれば、ライフラインの防災対策は大変な進歩です。

しかし、この地震により東京電力管内で地震直後に約210万戸が停電しました。これは地震の影響で運転を停止した発電所の発電量に見合う分の電力消費を抑えるためです。全域が停電するようなブラックアウトを防ぐために、予防的に停電させられる地域が出たということです。復旧は早く、3時間ほどでほぼ全域の停電が解消しました。

さらに地震から1週間近く経った22日、東京電力・東北電力管内において初めての電力需給ひっ迫警報が発令されました。この警報は東日本大震災を教訓に2012年に作られたのですが、実際に発令されたのは今回が初めてでした。

理由は21日夜の段階で、翌22日は寒いうえに雨で太陽光発電が利用できない見通しになったからです。発表が遅かったため、企業などが対応する時間的余裕はありませんでした。それでも東京電力は、北海道電力、中部電力など4社から最大約100万キロワットの電力融通を受け、計画停電をせずに乗り切りました。電力融通の仕組みも東日本大震災後、強化されたものの一つです。